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知人から会社の取締役になって欲しいと言われています。取締役になることのリスクや従業員が取締役になるときの注意点、責任を軽減する方法を教えて下さい。
取締役になるとリスクが生じますので十分に注意しましょう。
株式会社において、役員とは取締役、監査役などです。
取締役等には会社に対する責任も生じます。
取締役等の損害賠償責任は、会社法では以下の様なものがあります。
①役員等は任務を怠って損害を株式会社に生じさせたときは損害賠償を負う。
②取締役の違法な自己取引は、その取引の利益額が会社の損害額と推定される。
③利益相反取引によって会社に損害を与えた時は、取締役が任務を怠ったものと推定される。
④役員等が職務を遂行する時に悪意、重大な過失があった場合は、第三者へ損害賠償する責任を負う。
これらの責任を軽減するため責任限定契約を締結し登記する方法があります。
次に従業員と取締役の違いですが、従業員が雇用契約なのに対して、取締役は会社との間で委任契約を結びます。このため、労働法の保護が及ぶ労働者ではなくなるので、そこが一番大きな違いということになります。例えば、労働者ではないということは、どれだけ働いたとしても残業代は出ませんし、年次有給休暇もありません。また、雇用保険の適用はありませんので、突然解任されたとしてもいわゆる失業給付はもらえません。
さらに、原則として労災保険にも加入できないので、業務中にケガを負った場合には何の保障もされないうえ、被保険者が5人未満である適用事業所に所属する法人の代表者等であって、一般の従業員と著しく異ならないような労働に従事している場合を除いては、業務中のケガには普通の健康保険を使うこともできないので、原則として病院代は全額自己負担となります。さらにさらに、破産したときに報酬の未払いがあったとしても、労働者の給与のように優先的に取り扱われるわけではなく、国の未払賃金立替払制度を利用することもできません。
まとめると、取締役等には責任が生じるので、取締役に就任する際は、どのような会社かはもちろん、取締役の業務の内容について、十分に確認しましょう。責任を軽減する責任限定契約という方法もあります。従業員から取締役になる際はデメリットも多いので注意しましょう。