今までいただいたご質問の中で多かった質問とその回答例です。
詳細画面から専門家に、メール相談や直接会っての面談などを申し込むことができます。
生産現場の「見える化」に取り組みたいのですが、どこから取り組んでいいのかわかりません。具体的な取り組み方法を教えて下さい。
取り組みの目的を明確にし、整理・整頓による見通しの良い現場作りから始めてみましょう。
「見える化」のねらいは「問題の把握と解決」です。「見える化」を行うことで、全員が問題を共有 し、解決のための行動につながることが重要なのです。単なる表示だけでは「見える化」ではないことに注意して下さい。
「見える化」は、以下のステップですすめます。
ステップ1:目的の明確化
「見える化」の目的を明確にします。誰に、何を、どのように「見える化」するのかを明確にすることで初めて効果が表れます。
ステップ2:現場環境を整える(5Sの推進)
要るものと要らないものを分け、要らないものを捨てる「整理」と、必要な物がすぐに取り出せるように置き場所・置き方を決める「整頓」、また、決まった位置に決まったものを決まった量だけ置く「3定(定位・定品・定量)」を徹底して行い、不要なもので問題点が隠されてしまうことを防ぎます。
ステップ3:共通の判断基準を作る
信号機や交通標識のように、同じ情報を見て同じ認識ができる分かりやすい共通の判断基準を作ります。その基準に従って、モノの置き場や通路を明確にするための「白線表示」、どこに何がどのくらいあるのかを表示する「看板(表示板)」等を設置し、異常が見える見通しの良い現場環境を作ります。
ステップ4:異常処理のしくみを作る
異常が発生した場合の処理方法をルール化し、全員に徹底します。
トヨタ生産方式で有名な「アンドン」では、異常が発生した場合、作業者が頭上の紐を引くとアンドンが点灯し、同じ製造ラインの他の作業者やリーダーが駆けつけ、一緒になって問題解決にあたります。異常の発生が目で見て分かるだけではなく、即座に手が打てるしくみを作ることが大切です。
ステップ5:根本原因への対策と横展開
再発防止を行うため、発生した問題の根本原因に対する処置や対応マニュアルを作成し、横展開します。また、全員の共通認識に落としこむために、現場の改善教育を通じて各自のムダや異常を察知できる能力を養います。
「見える化」はあくまでも自律的な問題解決活動を促進する手段であって目的ではありません。この点に留意し、まず現場の整理・整頓から全員で取り組んでみてください。