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当社の元従業員から未払残業代の請求を内容とする労働審判申立書が裁判所から届きました。第1回期日が指定され、その1週間前に答弁書の提出期限が定められています。当社はどのように対応したらよいでしょうか。
早急に準備して第1回期日で有効な反論を行わなければなりません。
労働審判制度は、労働関係に関する紛争について、裁判所において、裁判官である審判官1名と労働審判員2名で審理し、調停を試みながらも、調停がまとまらなければ労働審判を行う制度です。審判に対して異議を述べれば訴訟に移行しますが、いったん審判という形で判断が示されるため、申立人の主張内容に不服がある場合には、相手方として説得的な反論を行う必要があります。
しかし、労働審判においては、原則3回以内の期日で審理を終結することが予定され、第1回の期日は、申立日から40日以内の日に指定され(労審法14条、労審規13条)、それより前に、答弁書の提出期限も定められます(労審規14)。当事者は原則として第2回期日が終了するまでの間に主張及び証拠書類の提出を終了させなければなりません(労審規27条)。
裁判所では、第1回期日において、主要な争点及び証拠の整理を行い、第2回期日では、残された補充的な主張や証拠提出のみが許され、その後は、提出内容や聞き取った事情を踏まえた和解案の提示等がなされます。
答弁書には、申立書記載の事実に対する認否、答弁を理由づける具体的な事実、予想される争点及び当該争点に関する重要な事実、予想される争点ごとの証拠、当事者間においてされた交渉その他の申立に至る経緯の概要等を記載し、証拠書類があるときは、その写しも添付する必要があります(労審規16条)。いきなり申立書が届いたところですが、相手方となる会社においては、早急に対応する弁護士との打ち合わせ、調査聞き取り、証拠の確保等を行って、期日までに答弁書を提出しなければなりません。
労働審判においては、第1回期日こそが主張、立証の勝負となります。なるべく充実した答弁書及び証拠を期限内に提出し、審判官及び審判員に説得的に事案や会社側の主張を理解してもらうことが重要です。