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債権回収の交渉を続けてきて、ようやく月々の分割であれば支払うとの条件に至りました。
はっきりさせるために、分割の条件を書面で作成しようと思います。作成の際の注意点を教えてください。
支払いが滞った場合に備えて期限の利益喪失条項を定めましょう。
資力の乏しい債務者への債権回収では、全額の支払いが無理でも、相当な条件での分割支払いを認めて債権を回収する方が回収率を上げるケースが多くあり、分割の条件を認める場合、合意書などの書面をとっておくことは有用です。
月々の分割を認める場合、「債務者は、債権者に対し、本日現在、金○○○万円の支払債務を負担していることを承認する。」などと債務の総額を記載し、これを「〇年〇月から△年△月まで毎月末日限り金○万円ずつ(合計〇回)分割して支払う」などのように分割条件を定めるのが一般的です。
以上の記載で分割条件は明確になるのですが、分割払いを認めるということは、相手方に、返済期日まで返さなくていいという猶予を与える(このことを期限の利益といいます。)ことになります。
例えば、毎月末日限り、5万円ずつ15回に分割して支払うという条件であれば、最後の5万円の支払いは、15か月先の末日となり、そこまで猶予を与えたことになります。第1回目から債務者が支払わなかった場合でも、残り14回の期限はまだ到来していないので、このままでは、それぞれの期限が来るまで、請求できないことになるのです。
これでは、分割支払いを認めることで、かえって債権回収を難しくしてしまうので、誠実に分割支払いをしない場合に一括請求できる期限の利益喪失条項を入れておくことが重要です。
期限の利益喪失条項は、「債務者が分割支払いを1回でも怠った場合、何らの通知・催告がなくとも当然に期限の利益を喪失し、債務者は、直ちにその債務残額を一括して弁済する。」などのように定めます。
違反の事由は、2回怠った場合としたり、一部不払いを含むとしたり、不払い額が合計〇万円に達した場合などと金銭で定めたりすることがありますが、いずれにしても、期限の利益を失うこと、一括弁済となることを定めておくことが重要です。