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取引先の状態がよくないため、なんらかの担保取得を考えています。動産を担保にした登記があると聞いていますが、どのようなものでしょうか
企業が有する在庫などの動産を担保にする場合の公示(対抗要件)制度として、比較的新しい制度です
動産担保は、動産を担保にした融資制度として、不動産担保に依存しない資金調達の方法として注目されているようです。資金調達の一手法として考えられていることが多いようですが、企業の売掛金を担保する方法としても利用できる可能性があろうかと思います。
動産を担保にとるためには、質権もしくは譲渡担保の方法が考えられます。
質権設定の際には動産の引渡しが必要ですが、取引先の商品などの動産の引渡しを受けてしまうと、取引先は営業の継続ができません。他方、譲渡担保の場合は「動産譲渡登記」を行うことにより民法178条の引渡しがあったものとみなされて譲受人は対抗要件を充足することができます。この場合、取引先は動産を使用することが出来ますので、依然として営業の継続をすることができます。
こうした手法による担保設定や登記は、個別の動産についてのみならず、種類や所在場所、量を指定するなどの方法で範囲が特定できる場合には、集合物についてもすることができます。
ただし、登記できる担保権設定者が法人のみであったり、動産については不動産における鑑定のような担保評価の方法が確立されているとは言い難かったり、動産の保管状況を定期的・継続的にチェックする必要があったり、動産を保管する倉庫の倉庫料が未払いの場合には倉庫業者から留置権を行使されるおそれがあったり、動産譲渡登記を行ったとしても後に動産が即時取得されてしまったときには対抗できなかったり、有効期限が原則として10年であったり、その他にもいくつかのリスクがあることも念頭に入れなければなりません。
不動産を目的とした抵当権や根抵当権やその他の担保取得方法に比べると、検討項目や課題の残る制度ですから、利用にあたってはデメリットとメリットなどを十分に検討なさることをお薦めいたします。