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従業員の横領が発覚しましたが、被害額が大きく本人だけでは賠償できない可能性があります。身元保証人への請求を予定していますが、その際の注意点を教えてください。
身元保証契約上の制約や身元保証責任に制限がある点に注意する必要があります。
身元保証人への請求は、従業員の入社時に締結した身元保証契約により行いますが、身元保証契約に基づき請求するためには以下の種々の制約があり、これを遵守できているか確認する必要があります。まず、保証契約として書面によることが必要です。
保証期間は定めがないときは3年、期間を定める場合は最長5年となります、自動更新はできず、期間の満了後は新たに契約を更新する必要があります。保証期間内になければ請求はできません。
また、従業員の勤務地や任務を変更した場合は身元保証人に通知しておく必要があります。通知を行ってない場合は、身元保証人の責任を減じ、場合によっては免除する要因となります。
以上の制限をクリアーしている場合は、身元保証人に対し、損害賠償請求することとなります。
従業員の不正行為が発覚した段階で、この点に関する身元保証人への通知義務があり、まずは、身元保証の対象者である従業員について横領の事実が判明したことを通知する必要があります。
その後、事実関係の調査を経て、損害が明らかになった段階で損害賠償の請求を行います。もっとも、身元保証人の責任については、会社の管理・監督上の過失や身元保証をするに至った経緯、その他一切事情を考慮し相当程度制限する裁判例も多く、裁判では身元保証人の責任の有無・範囲を限定的に解する傾向にあります。
そのため、身元保証人との協議においては、事案に応じて、全額の負担ではなく、一定範囲の負担で合意(和解)することも検討してください。