今までいただいたご質問の中で多かった質問とその回答例です。
詳細画面から専門家に、メール相談や直接会っての面談などを申し込むことができます。
これまで代表取締役1人の法人でしたが、パートタイマーを雇用しようと考えています。
どのような手続きをすれば良いでしょうか?
①雇用契約締結、②提出物の確認、③労働社会保険の手続きです。
社員が1人だけでも、行政への手続きだけではなく、使用者と労働者間のルールを最初に約束しておきましょう。また、必要な書類はできるだけ最初に入手しておきましょう。
1.労働条件の明示と雇用契約の締結
雇入れの際に労働条件の明示が不十分では、後になってから社員からクレームが出ることも少なくありません。また、口頭による明示では後で「言った、言わない」の問題になってしまいます。
労働基準法第15条第1項には、「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。」と規定されています。明示すべき事項は労働基準法施行規則第5条第1項に規定されています。労働条件書面で明示する様式としては、「労働条件通知書」と「雇用契約書」の2種類がありますが、「労働条件通知書」は会社から従業員への一方通行の通知となり、後々社員から「労働条件通知書」は受け取っていないと言い出せば、会社からの反論が難しくなります。そこで、双方が署名捺印し、それぞれ1部ずつ保管する「雇用契約書」に労働基準法上の明示内容を網羅すれば良いでしょう。
2.入社した時に提出させる物
書類の提出と確認は労使双方に負担となりますが、こうした書類のやりとりをしっかりと行うことで、従業員の意識が引き締まります。
「誓約書」「身元保証書」:社員が不注意や故意による事件・事故を起こし、会社に損害を与えたときに備えるため
「マイナンバーカードの表裏のコピー」または「通知カード」+「身分証明書」のコピー:税金・雇用保険・社会保険手続きのため
「雇用保険被保険者証」「年金手帳」:雇用保険・社会保険手続きのため
「源泉徴収票」「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」:税金関係の手続きのため
「健康診断書(採用前3ヶ月以内に受診)」:入社時の健康診断の代用
「住民票記載事項証明書」:現住所確認のため
「給与振込依頼書」:給与を金融機関に振込支給する場合
「通勤経路届」:通勤手当計算や通勤災害の経路確認のため
また、扶養家族がいる等の個別事情により、さらに提出物が必要になることがあります。
3.労働保険、社会保険の手続き
労働保険では、初めて人を雇い入れたときに「労働保険 保険関係成立届」の届出が必要です。雇用保険の対象となる「1週間の所定労働時間が20時間以上」かつ「31日以上引き続き雇用見込みがある」人を初めて雇い入れたときには、さらに「雇用保険 適用事業所設置届」の届出が必要です。雇用保険の対象となる人は2017年1月から年齢要件が無くなりましたので、65歳以上の社員でも手続きをします。
社会保険については、既に法人が適用事業所となっている前提で回答いたします。社員が加入条件を満たす場合、5日以内に年金事務所に(健康保険組合に加入している場合は健康保険組合にも)届け出ます。また、「1ヶ月の所定労働日数」または「1日or 1週間の所定労働時間」が正社員の約4分の3以上の短時間労働者も加入対象です。2016年10月からは、さらに短時間のパートタイマーにも加入できるように条件が適用拡大されました。詳細は下記厚生労働省ホームページを参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/jigyonushi/
(回答日:2024年10月4日)