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交通事故などの損害賠償額には「相場」があるのでしょうか。相手方の提示額が妥当なのかどうかわからず、このまま示談に応じてよいのかどうか迷っています。
交通事故などの損害賠償額には、一定の「基準」があります。
1 交通事故などの損害賠償額は、治療費、通院慰謝料、通院付添費、後遺障害慰謝料などの個々の「損害項目」ごとの損害額を、「一定の基準」に基づいて個別に算出し、これらを合算して算出します。
2 ただし、「一定の基準」といっても、現在の実務上は、①自賠責保険の基準、②保険会社の基準、③裁判所の基準(※)の3つの基準があるといわれており、①よりも②が、②よりも③が高額の基準となっています。
※ 裁判所の基準は、長年にわたる交通事故訴訟事件の損害論の蓄積により構築されたもので、例えば、(財)日弁連交通事故相談センター東京支部編集・発行「民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準」(上・下巻セット)などに掲載されている、いわば正当な賠償額といえます。
3 任意保険会社からの賠償額の提示は、③の裁判所の基準よりも低くなりがちですから、示談交渉にあたっては、裁判所の基準に基づき適正な賠償額を算定した上で、裁判となった場合の賠償額が保険会社提示額を上回ることを述べた上で交渉をしてゆく必要があります。
4 勿論、損害賠償額の算定は、損害額の積算による賠償額の算定のみにとどまりません。
交通事故の場合には、A「損益相殺」として控除すべきものはないか(例:受領済み遺族厚生年金等)、B無償同乗の問題はないか、C素因減額はないか、D過失相殺の必要はないかなどの検討を行います。
5 損害額の算定は交通事故等の賠償交渉の基本となるものですが、若干複雑な面もありますので、専門家(弁護士)に相談し、適切な賠償額を算定してもらった上で、納得のゆく示談を行うべきであるといえます。