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取引先から売掛金を回収したいのですが,小口の債権なので,弁護士を頼むと費用倒れになってしまいそうです。リスクを小さくするために自分で債権回収をしようと思うのですが,どうすればよいですか。
まずは裁判外での回収を目指し,それが困難な時は簡易裁判所の制度を利用しましょう。
まず,相手方と裁判外の交渉が可能な状況なのであれば,担保の提供や連帯保証人をつけることを約束させる書面等に署名捺印させて,分割払いを受けるということが考えられます(相手方から,支払を待ってくれるように「お願い」されているときは,そのような書面を取り付けるチャンスです)。なお,内容証明郵便を送付するという対応も考えられますが,これは基本的には「お手紙」なので,無視されたからと言って,何か法的に効力があるというわけではありません。
次に考えられるのは,簡易裁判所での民事調停の申立です。これは,裁判所を挟んでの話し合いの手続で,相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に申立をします。裁判所の窓口で申立書の書式は無料でくれますので(裁判所のホームページからもダウンロードできます),これに自分と相手方の氏名・住所を書き,裁判所に提出すれば,裁判所から相手方を呼び出してくれます。このとき,印紙の貼付と郵便切手の予納が必要ですが,費用としては少額です(印紙代は請求額によって,上下します)。調停はあくまで話し合いの手続なので,相手方が欠席したり,話し合いが平行線になるならば,単に「不成立」ということで手続が終わりになりますが,裁判所からの呼出ということもあり,相手方が出席する見込みは高く,自分でできる債権回収の手続としてはかなり現実的な方法であると言えます。
また,140万円までの金額であれば,簡易裁判所で民事訴訟を起こすこともできます(この場合も窓口で頼めば訴状のひな型をくれます)。訴訟のよいところは,相手方が欠席しても,こちらの言い分どおりの判決がもらえるという点ですが,もし勝訴判決を得られたとしても,自分で強制執行を行うのは手続が複雑であることからやや困難かもしれません。これを行う場合には,裁判所のホームページや書籍などを参考にしながら,預金債権の差押手続を行うことが現実的でしょう。