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国税庁が富裕層への対応強化の取組みとして富裕層PTを設置したことを知りました。この趣旨及び内容、今後の注意点について簡潔に教えてください。
富裕層に対する国税当局の情報管理・連携調査の体制が、より整備・強化されましたので、これまで以上に総合的視点に基づく税務対策が重要となります。
富裕層PTは、国税庁が富裕層への対応強化を目的とし、一定基準以上の富裕層とされる個人だけでなく、その親族等の関係個人や法人をまとめて管理し、将来の相続税の適正課税も含め一体的かつ継続的にグループ単位で情報収集や分析を行う管理体制を言います。
具体的には、通常「個人」「法人」「資産」の各部門ごとに情報を管理し、調査事案ごとに必要に応じた連携体制をとっていたのが、富裕層PTでは、各部門の一部担当者がチームを組み、対象となる個人やその関係法人等の情報を一体的かつ継続的に管理し対応します。
富裕層PTの選定基準は、以下のとおりです。
(下記1・2いずれかに該当すると管理対象者として選定)
1.形式基準 … 見込保有資産総額が特に大きい者
2.実質基準 … 形式基準に該当しない者のうち、一定規模以上の資産を保有し、
かつ、国際的租税回避行為その他の富裕層固有の問題が想定され、
重点管理富裕層として特に指定する必要があると認められる者
上記には明確な数値基準がありませんが、世間一般の富裕層基準、税務調書(財産債務調書・国外財産調書)の提出基準等から、このような方が対象になると想定されます。
◆ 純金融資産の保有額が1億円以上の方
◆ 総資産が3億円以上の方
◆ 国外財産が5千万円超の方
◆ 年間所得が2千万円超の方
管理対象者として選定された場合、国税当局は下記の資料情報を的確に集約し、分析・検討することにより対象者グループの管理の充実を図るとされています。
[継続的に集約・管理する資料情報]
・申告書(別表、決算書、各種内訳書、添付資料を含む)
・重要資料等の個別管理資料、国外送金等調書、国外財産調書、財産債務調書
・マスコミ情報、インターネット情報、その他の部外情報 等
[必要に応じ集約・管理する資料情報]
・関連法人の役員及び株主の異動情報
・株主名簿
・海外子会社のマニュアルレポート 等
このように富裕層を取り巻く国税当局の対応はより一層厳しさを増しています。
特定の個人や税務分野のみに焦点を当てた対策では、予期せぬ税務トラブルに巻き込まれる可能性がありますので、家族単位又は法人を含むグループ単位から見た場合においても最適な対策となるように、総合的視点に基づく税務対策が重要です。
これらの内容について更に詳細を知りたい方は、ぜひ経営相談室をご利用ください。
(回答日:2025年10月3日)