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非上場株式の評価方法、現行通達に対する会計検査院の指摘、通達改正の可能性について簡潔に教えてください。
類似業種比準価額と純資産価額を併用し評価を行います。しかし、令和6年11月6日、現行通達に対する会計検査院の指摘があり、評価方法の見直しへの懸念が強まっています。
非上場株式の評価方法は、会社規模の判定(総資産・従業員数・売上高)に応じ、大会社・中会社・小会社の3段階に分類され、中会社はさらに大・中・小に細分化され、計5段階の分類に応じ、原則、下記のとおり類似業種比準価額(A)と純資産価額(B)を併用し評価を行います。
類似業種比準価額(A)は、同業種の上場企業の株価及び3指標(配当・利益・純資産)
を基に、評価会社の3指標を比較し評価を行います。
純資産価額(B)は、評価会社の純資産を基に、時価換算し評価を行います。
■ 大会社 (A)
■ 中会社(大) (A) × 90% + (B)× 10%
■ 中会社(中) (A) × 75% + (B)× 25%
■ 中会社(小) (A) × 60% + (B)× 40%
■ 小会社 (A) × 50% + (B)× 50%
上記評価方法の趣旨は、大会社ほど上場企業に近い状況であるため、類似業種比準価額(A)を用いることがより適正な評価に繋がり、小会社ほど年々の個別事情等により経常的利益が変動しやすい為、純資産価額(B)を重視した方が適正な評価に繋がるというものです。
しかし、令和6年11月6日、この現行通達に対する会計検査院の指摘がありました。
その内容は、令和2-3年の相続税・贈与税申告のうち無作為抽出した計1,600件の申告を対象に検査したところ、類似業種比準価額の中央値が純資産価額の中央値の約4分の1の水準であり、会社規模が大きいほど評価額が低く算定される傾向であるというものでした(=類似業種比準価額で算定した方が税負担が軽くなる可能性が高いということ)。
そして、この検査結果に対し「このような状況は、異なる会社規模の株式を取得した者間で株式の評価の公平性が必ずしも確保されているとはいえないと思料。評価制度の在り方について様々な視点からより適切なものとなるよう検討を行っていくことが肝要。」との所見が示されました。
会計検査院の指摘があった場合、その指摘を踏まえた改正に至ることが多い為、近いうちに通達改正が行われる可能性が高いと考えられています。
通達改正が行われた場合、非上場株式の評価が上昇(増税)となる可能性が高い為、株式の承継が進んでいないオーナー家族の方々には、この状況を踏まえ早急に承継方針を策定されることをお勧めいたします。
これらの内容について更に詳細を知りたい方は、ぜひ経営相談室をご利用ください。
(回答日:2025年10月3日)