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成長するスタートアップは人事労務戦略をどうしている?

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  • 成長するスタートアップは人事労務戦略をどうしている?

    IT分野で創業2年目のスタートアップを経営しています。人材が10名を超え、人事労務の仕組み化が必要だと感じています。限られたリソースの中で、どのような優先順位で人事労務体制を構築すべきでしょうか?成長を阻害せず、かつリスクも抑えられる方法を教えてください。

    法令遵守の「守り」を固めつつ、採用・評価の「攻め」を段階的に構築しましょう。



     スタートアップの人事労務では、「守り」と「攻め」のバランスが重要です。限られたリソースを有効活用するため、段階的なアプローチをお勧めします。
     ステップ1:最優先で「守りの人事(法令遵守)」の基盤を固める
     まず優先すべきは、労務トラブルを防ぐ「守りの人事」、つまり法令遵守の基盤整備です。就業規則や雇用契約書の整備は最優先です。特にIT業界の長時間労働に備え、勤怠管理システム導入と36協定の適切な運用が必須です。社会保険や給与計算の体制も早期に整えましょう。
     ステップ2:「攻め」にもつながる労働環境を整備する
     次に、IT人材の確保・定着につながる労働環境を整備します。リモートワークやフレックスタイム制など柔軟な働き方は、IT人材に魅力的な条件です。これは「守り」の側面だけでなく、採用力を高める「攻め」の戦略にも寄与します。
     ステップ3:基盤を活かし「攻めの人事(成長戦略)」に注力する
     守りの基盤が整ったら、「攻めの人事」に注力します。
     採用戦略: 求める人材像を明確にし、多様な採用チャネルを開拓することが効果的です。候補者体験の向上に注力すれば、予算が限られても競争の激しいIT人材市場で差別化できます。
     評価・報酬制度: シンプルで公平な評価制度も重要な「攻め」の施策です。ストックオプションなどを活用し、資金制約がある中でも人材の定着と動機付けを図ります。
     組織文化の醸成: ビジョンやバリューの浸透は、求心力の高い組織づくりの基盤です。社内コミュニケーションの活性化や研修制度も、人材の成長と組織の一体感醸成に貢献します。
     将来のIPOを見据えるなら高度な体制が必要ですが、初期段階では完璧を目指す必要はありません。事業フェーズに合わせ最低限の仕組みから着手し、柔軟に制度を見直す姿勢が持続的な成長の鍵です。

    (回答日:2025年10月1日)

回答した専門家
労務管理

河合 保則

『人が辞めない、トラブルが起きない』成長企業に必要な労務戦略を、IPO経験者が伴...

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ライセンス

社会保険労務士
中小企業診断士

重点取扱分野

●創業期に必要なこと・・・スタートアップの基盤づくり
...

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