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ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム)を認証取得するためには、労働災害を防ぐためのリスクアセスメントを実施する必要があります。その具体的な方法について教えてください。
危険源を特定し、危害の影響度と可能性でリスクを評価しましょう
労働安全衛生に関するリスクアセスメントは、労働災害を未然に防止する手法として有効です。安全とは、許容不可能なリスクがないことですが、リスクアセスメントは、企業としてどこまでを許容し、どこからは許容しないのかを判断することです。具体的な手順は以下のようになります。
【ステップ1】危険源の特定
まず、職場の中から危険源を特定します。危険源とは、エネルギーを持っているものです。機械(回転、駆動)、電気(高電圧)、位置(高さ)、化学、圧力、重力(重さ)、熱(高温、低温、化学反応)、放射(レーザー、X線)、生物(微生物)と、危険源は身の回りにたくさん存在します。その中でエネルギーの大きいものから優先度をつけて危険源を特定します。
【ステップ2】既存の管理策のリスク評価
特定した危険源に対して、既存の管理策でのリスク評価を行います。リスク評価は、危害の影響度と可能性を掛け合わせて評価します。影響度については、「致命傷」、「重症」、「軽傷」、「軽微」の4段階で、可能性については、「確実に起こる」、「可能性が高い」、「可能性がある」、「ほとんど起こらない」の4段階で評価します。可能性については、工学的対策と管理的対策が取られているかどうかで評価します。工学的対策とは、ガードや安全装置を取り付けるなどの物理的対策です。管理的対策とは、掲示、マニュアル整備、教育訓練などの対策です。尚、可能性が低くても一度発生すると甚大な被害が発生する可能性があることから、影響度の重みを大きくするのが一般的です。リスクについて厳密な数値計算を行う必要はありません。管理者、監督者、現場の作業者等がしっかり対話をして評価することが重要です。
【ステップ3】リスク低減策の検討・評価
リスク評価の結果、許容できないとなった場合、追加の管理策を選定することになります。その時の優先順位は、①危険源の除去、②危険性の低いプロセス、操作、材料又は設備への代替、③工学的対策、④管理的対策、⑤個人保護具の使用、となります。リスク低減策を決めたら、本当にその対策でリスクが許容範囲内に収まるのかどうかを確認してから対策を実行します。
【ステップ4】リスク低減策の実施と見直し
許容範囲内に収まるリスク低減策を実行した後に、改めてリスク評価をします。その際、危険源が変わらない限り「影響度」は下がらないということを認識しておく必要があります。リスク評価の結果を受けて、改めてリスク低減策を見直します。
(回答日:2025年10月8日)