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補助金で設備投資した話をよく聞くが、留意点はありますか?

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  • 補助金で設備投資した話をよく聞くが、留意点はありますか?

    補助金で設備投資したという話を時々、知人から聞きます。自社でも設備投資をしており、なぜ自社では補助金活用ができていないのか残念に感じています。補助金を活用する際の留意点を教えてください。

    継続的に情報収集し、経営ビジョンや実現可能性を元に判断しましょう。


    返さなくていいお金には補助金や助成金があります。両者には違いがあるので、まずその違いをご説明します。

    【助成金】
    ・厚生労働省の管轄
    ・要件を満たせば受領できる
    ・補助金と比較して一般に少額である。(キャリアアップ助成金など)

    【補助金】
    ・経済産業省などの管轄
    ・公募期間がある。公募期間内に申請して審査された後、一定数が採択される。
    ・助成金よりも金額が大きい。(ものづくり補助金・事業再構築補助金など)

    なお、補助金に申請して、採択されるかどうかについては、一般に以下の3つのポイントがあると考えています。

    (1) 会社の技術力やオンリーワンの存在であるなど事業としての魅力度・競争優位性
    (2) 申請する事業計画と補助金の要件との合致性
    (3) 申請書が審査項目を的確に網羅していること

    上記のうち(1)については事業計画書で左右する事が難しい領域です。
    (3)については、事業計画書の書き方の工夫が可能です。
    (2)が難しい点であり、補助金要件に合わせようとして、事業本来の目的から逸れてしまうケースもあるようです。

    上記を踏まえていただいた上で、補助金を適切に活用するには、以下3点に留意する必要があります。

    1) やりたい事業・設備投資と補助金の要件との合致性
    補助金はあくまでも一つの手段です。補助金に採択される事が目的化して、要件に合わせようとし過ぎると、本来の事業目的から逸れることもあります。それこそ本末転倒です。また、補助金の金額は、申請時の金額から増やす事はできないので、スモールスタートで実施してから等の柔軟な対応や変更は原則としてできません。事前に計画を固める必要があります。

    2) スケジュールに問題がないか。
    公募期間中に申請し、2か月後などに結果発表され、その後、交付申請して交付決定後にようやく事業を実施できます。自社のスケジュールと合うかどうか。補助金のスケジュールに合わせるがためにタイムリーな実施ができない等の問題がないか検討する必要があります。

    3) 資金調達や資金繰りに問題がないか。
    補助金は設備導入等を実施し、支払いを済ませた後に、補助金が支払われる事になります。補助金を受けとる前に、経費の支払いが必要になるため、金融機関からつなぎ融資を受ける必要があります。一方で、採択後に経費の上乗せができないから、「どうせ補助金をもらうなら」とつい経費を積み増しした計画を立てるような事もあるようです。

    補助金を貰えたとしても、費用全体の1/3〜1/2は自己負担なので、過大な設備投資計画を立てると、資金流出が増える結果になりがちです。また、金融機関から実現可能性の低い計画と見られて、つなぎ融資が受けられない場合もあります。

    せっかく採択されても、つなぎ融資を受けられないと、採択されたにも関わらず設備投資を見送らざるを得なかったり、手持ち資金での投資になり、資金繰り悪化につながるケースもあります。

    補助金は公募期間があるので、締切に間に合わせるためにどうしても負荷がかかります。採択後の交付申請手続き、事業化状況報告等々、採択後の書類仕事も煩雑です。

    やりたい事と補助金要件が合致しており、スケジュールも無理がない場合にのみ活用する事が望ましいでしょう。

    補助金を無理なく活用するために必要なことは、
    (1) 自社の経営ビジョンを明確化し、自社にとって本当に必要な事は何か。根拠をもって優先順位を判断すること。
    (2) 補助金を得るがために要件に合わせようとし過ぎるのではなく、自社の方針や実現可能性を考慮して、無理のない投資計画を立てること。
    (3) 情報収集ルートを複数持ち、平素から継続的に情報収集すること。

    この3点が特に重要ではないでしょうか。

回答した専門家
マーケティング戦略

片山 祐姫

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