今までいただいたご質問の中で多かった質問とその回答例です。
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社長を辞めるタイミングと、どのようなことに注意すればよいかを教えてください。
事業承継計画を作成し、引退する時期を明確にすることが有効です。
経営者にとって自分の引き際を決めるということはとても難しいことだと思います。
中小企業の場合、社長自らが自分の引退の時期や方法を決めることになります。後継者から、今の経営者に「いつまでに辞めてくれ。」とは言いにくいですよね。わたしは1,000社以上の経営者と事業承継について話をした経験があります。オーナー企業の場合、社長を譲って会長や相談役など肩書は変わっても、昔と同じ様に実権を持ち続ける経営者を数多く見てきました。VUCAの時代と言われて久しいですが、時代の変化が激しく、顧客や従業員の価値観も多様化していますよね。このような時代、過去の成功体験にしがみついていると、業績はジリ貧となり、企業としての成長を遂げることは難しくなります。
これからの時代は、中小企業といえども、DXやSDGs、カーボンニュートラルなどかなり難しい経営課題から逃れることはできません。経営者としての能力と年齢に明確な関係があるわけではありませんが、一般的には変化の激しい時代には若い世代の経営者の方が高齢の経営者より適用しやすいといえます。
経営者の最大の仕事は、次の経営者を育てることです。新経営者を指名したら、会社の規模にもよりますが、3年から5年後には会社の経営を完全に新しい経営者に任せましょう。私はできるだけ口を挟まないようにする方が経営がうまくいっているという印象をもっています。なぜなら、前の経営者が経営に関与し続けると、新経営者は成長しませんし、従業員の信頼を勝ち取ることはできません。
そこで、事業承継計画書を経営者と後継者が一緒に作ることで、いつまでにどのような形で権限を委譲していくかを見える化することができます。社内にその計画書を貼り出すことで従業員にも経営者が変わることを示す効果があります。たった1枚の計画書で経営者は自分の引き際を決めることができ、後継者は未来の経営者としての自覚をもつ効果が現れます。