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社員の在宅勤務について質問です。パソコンは会社から貸与します。郵送代等が必要な場合は会社の許可と領収書精算により支給します。一方で、光熱費や通信費は業務用と私用との区別が難しいため、社員負担でも問題ないでしょうか?
社員に費用負担をさせる場合は、就業規則等に定めなければなりません。
在宅勤務の場合は、在宅勤務をする社員側が契約している電気・水道・通信のインフラを使う場合があります。この場合、社員に費用負担させるという考え方になります。
労働基準法第89条には、常時10名以上の労働者を使用する場合、就業規則を作成し、所轄労働基準監督署へ提出しなければならないことが定められています。
そして、「労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項」を就業規則に定めなければなりません(労働基準法第89条第5号)。
よって、ご質問の事例では、在宅勤務において、「パソコンは会社から貸与」、「郵送代等は会社の許可と領収書精算により実費支給」、「光熱費と通信費は社員負担」であることを、就業規則やテレワーク就業規則などの諸規程に定める必要があります。
常時使用する労働者数が10名未満の使用者で、就業規則が無い場合は、在宅勤務者との雇用契約書(兼 労働条件通知書)に費用負担について定めなければなりません(労働基準法第15条第1項、労働基準法施行規則第5条第1項第6号)。
毎月定額の「在宅勤務手当」を支給する場合であっても、上記の費用負担に関する定めは省略しないことをお勧めします。在宅勤務手当は光熱費・通信費等の対価として支給することとし、例①在宅勤務手当の額を超える費用は社員の負担とする旨の定め、あるいは、例②在宅勤務手当には光熱費・通信費等の一切の費用の対価が含まれる旨の定め等、毎月定額の在宅勤務手当の額以上に費用請求されるリスクを避ける必要があると考えます。
今回は在宅勤務における自宅の光熱費・通信費に関する費用負担に関するご相談でしたが、他にも下記に挙げるような費用負担が想定されます。これらも同様に就業規則や雇用契約書(兼 労働条件通知書)に定める必要がありますので、ご注意ください。
・社員の私有車両や携帯電話等の業務利用
・会社ユニフォームのクリーニング代(社員にクリーニング代を負担させる場合)、等