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著作権侵害となる行為(利用行為)は著作権法で定められており、著作権者以外が無断で利用行為をすると著作権侵害になると聞きました。著作権侵害にならず、著作物を利用するにはどの様な方法があるのでしょうか?
著作権の制限に該当しない場合でも、著作権の譲渡や利用許諾によって利用できます。
次の①〜③の場合には、著作権の譲渡や利用許諾なしに、著作物を合法的に利用できます。
① 著作権の保護期間を過ぎている場合、合法的に利用することができます。
保護期間は、映画の著作物については、原則著作物の公表後70年です。映画以外の著作物については、個人名義の著作物では、原則著作者の死後70年、法人等の団体名義の著作物では、原則公表後70年です。
② 著作権法で保護されない著作物である場合(著作権法第13条)。
法令、国等の告示・訓令・通達等、裁判所の判決等、これらの翻訳物・編集物(国等が作成するもの)です。この様な著作物は、合法的に利用できます。
③ 著作権の制限となる場合(同法第30条〜第50条)。
著作権法で、著作権侵害とならない場合が定められており、この場合に合法的に利用できます。例えば、私的使用を目的とする複製等がこの場合に該当します(著作権法第30条)。
従って、著作物の利用にあたって、上記①〜③に該当するかを確認しなければなりません。該当しない場合でも、著作権の譲渡、又は著作物の利用許諾の契約を著作権者と結ぶと合法的に利用できます。著作権の譲渡によれば自身が著作権者となります。著作物の利用許諾は、著作物の利用を許諾(許可)してもらうものですので、著作権が自身のものにはなりませんが、合法的に著作物を利用できます。
利用行為のうち一部だけ(例えば、利用行為のうち複製権だけ)の譲渡や許諾を受けることが出来ます。また、利用許諾において、地域等の利用の範囲を制限することも出来ますし、自身のみの独占的な利用の許諾を得ることも出来ます。どの様な範囲や条件で著作権の譲渡、著作物の利用許諾を受けるかよく検討する必要があります。
なお、著作権以外に著作者が有する権利として著作者人格権があり、著作物を伝達する者(実演家等)の著作隣接権もあります。これらの権利侵害とならないよう、これらの権利についての権利処理(不行使契約、譲渡、許諾)も必要な場合があります。