今までいただいたご質問の中で多かった質問とその回答例です。
詳細画面から専門家に、メール相談や直接会っての面談などを申し込むことができます。
海外経営では日本の常識では考えられない様々な問題が起きるのですが、海外でのリスクマネジメントで特に注意するべき項目と対応策について教えてください。
展開国での法律と運用状況を常に理解しPDCA管理のしくみをつくることです
海外経営におけるリスクマネジメントにおいて留意すべき点は3つあります。
① 不祥事や事故が起きたときのダメージは、日本で起こる場合に比べて大きく解決までの期間が長い
② 法律や商習慣の違いを十分に理解していないことが多い
③ コミュニケーションの壁が厚く情報不足や意思疎通上の誤解が問題を大きくしがち
商取引においてトラブルは付きものです。ところが海外取引では距離的な問題と商習慣、文化の違いが問題解決の障害の原因にもなることを理解する必要があります。日本ではいわゆる常識の範囲であえて確認しないようなことであったとしても、海外取引においては確認事項を都度文書化することに注意したほうが良いでしょう。
取引上のトラブル回避だけではなく、海外経営においいてはさまざまなリスク分野に配慮しなければなりません。調達、生産、販売、業務管理など一連のバリューチェーンそれぞれの段階でのリスク項目に加え、外部環境リスクとして治安・政情の悪化や洪水・感染症などの災害リスクも高まっていることに注意が必要です。
これらのリスクに対するマネジメントの基本は、まず展開国でのコンプライアンス体制の確立にあります。日本企業の多くで見られるのは現地の法律に対する理解が低いことです。ややもすれば日本の法律に合わせて経営判断をしがちです。様々な規制や税法、会社法、労働関係の法律などは国によって全く異なります。海外で起こる問題のほとんどは現地の法規制への理解の低さが原因となっています。
リスクマネジメント対応策としては、まずは徹底的して項目別リスクを洗い出すアセスメントに基づく対策の実施と、進捗確認・改善といったPDCAの管理体制を作り上げることが第一歩となります。