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海外展開には製造会社や販売会社など自社で法人を設立する場合と委託生産や販売代理店を通じて行う方法がありますが、それぞれのメリット、デメリットを教えてください。
海外展開を行う目的と製品・サービスによって海外法人の必要性を判断してください
海外展開には海外との輸出入取引である「貿易」と、海外に製造や販売会社などの現地法人を設立する「投資」があります。どちらも海外の顧客や仕入れ先との取引を通じて事業を拡大することが目的となりますが、「貿易」と「投資」ではヒト、モノ、カネ、ノウハウなど経営資源のかけ方や規模の違いがあります。それによってメリット、デメリットが変わってきます。
「貿易」を通じた海外展開では、自社の海外法人を設立せず、日本にある貿易商社や海外現地の輸入商社または販売代理店を経由してエンドユーザーに販売するという形態です。商社を活用する場合のメリットは、国内取引の延長線上で行うため為替リスクや回収リスクが低いことです。デメリットは、間接取引となるため直接販売活動のコントロールが難しく、間に多くの外部業者が入るため流通コストがかさむことです。
一方「投資」による海外法人設立でのメリットは、日本からではわからない市場ニーズを的確につかむことが可能であり、海外の新規顧客開発では輸出企業よりもはるかに優位となります。海外に子会社を設立することで企業全体のコスト競争力強化と市場拡大につながり、他社との委託生産や製品・サービスの事業提携拠点としても有効に働きます。
デメリットは、海外法人設立後にさまざまな事業リスクを抱えることです。海外投資は長期の資金負担が必要であり、現地法人の組織運営のマネジメントが確立できて初めて事業拡大につながります。単に売上を伸ばして利益を上げたいという目的だけで展開しても成功は難しく、投資回収を実現する視点から海外法人の必要性を検討していくことが重要です。