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初めての海外進出を計画しています。生産工場や販売会社などの海外拠点を設立するまでの流れと留意点について教えてください。
海外進出には海外進出の目的を明確にしておくことと十分な事前調査が重要です。
取引先の海外移転や国内市場の縮小傾向などにより、海外に進出し、新たな市場を開拓しようと目指す企業が増えています。
1.取引先からの要請、海外の成長市場開拓、生産コスト抑制など、さまざまな海外進出の動機があります。しかしながら、海外市場への大きな期待からの漠然とした進出目的では商習慣・環境が日本とは大きく異なる海外市場では通用せず、早晩失敗につながる可能性があります。現地事情をよく事前調査し、自社の経営資源だけで対応が可能か、進出前の事前検証が必要です。自社として、対応可能な仮説を設定し、検証が必要です。事前調査の効果的な方法として、FS調査と海外展開事業計画書がありますので、それらに沿って流れを概観します。
2.FS調査(事業化可能性調査)
国内予備調査では、各種公的機関、ネットなどで、顧客・サプライヤー候補、諸規制などの現地情報を事前収集します。現地調査では、行政機関、顧客・パートナー候補などを訪問します。人材、工業団地、顧客ニーズ、競合企業、税制などを調査します。
3.海外事業展開計画書
FS調査と並行して行う海外事業展開計画書の作成により、自社の経営資源・外部環境、経営課題などの全社レベルの分析を行います。海外事業の定量目標(売上・利益計画など)と定性目標(代理店開拓など)を設定します。
4.留意すべきこととして、次の点などが挙げられます。
①慎重にパートナーを選ぶ。
設立形態にかかわらず、現地パートナーが必要となるケースが多いものです。
②現地での経営管理を徹底する。
事業が軌道に乗っても現地任せにせず、本社の経営陣や海外事業担当者は必ず定期的に自分の目で現地法人の状況を確認し、細かく状況を把握する必要があります。
③現地でのネットワークを構築する。
問題や課題が顕在化した時にすぐ相談ができるよう、現地の事情に精通した信頼できる専門家(弁護士など)とのネットワークを、日ごろから構築しておくことは極めて重要です。現地の日本人商工会議所などの日本人コミュニティとのパイプを持っておくことも有益です。
④万一の撤退を想定した事業計画を立てる。
進出企業の経営状況について、予め基準を策定しておくことが望まれます。「設立後、5年経っても○百万円以上の利益があげられなかった場合は撤退を含めて事業再編を検討する」など、時期や目安の金額を想定しておくと良いです。