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2019年4月1日に年次有給休暇を18日付与した社員が、2019年9月30日に退職する予定です。その際、会社は2019年4月1日から2019年9月30日までに少なくとも5日の年次有給休暇を取得させる義務があるのでしょうか?
5日取得させることが望ましいですが義務があるとまでは言えないです。
2019年3月31日までは、年次有給休暇の取得日数について、使用者に義務はなかったのですが、法改正により、2019年4月1日から企業規模を問わず一律に「年5日の年次有給休暇の確実な取得をさせる義務」が使用者に課せられることになりました。その対象者は、法施行日以降に年次有給休暇が10日以上付与される労働者です。労働者には管理監督者や有期雇用労働者も含まれます。使用者は、労働者ごとに年次有給休暇を付与した日から1年以内に5日の年次有給休暇を取得させなければなりません。
今回ご質問の労働者には2019年4月1日(基準日)に18日の年次有給休暇を付与していますので、2019年4月1日から2020年3月31日までの1年間に5日の年次有給休暇を取得させなければなりません。しかし、年の途中である2019年9月30日までの6カ月間に5日の年次有給休暇を取得、または、案分して2.5日の年次有給休暇を取得させなければならない、ということまでは定められていません。
ただし、今回ご質問の労働者は、年次有給休暇を退職日までしか使うことができないため、労働者が年次有給休暇の時季を指定した場合には、会社は退職日より後の日への時季変更はできません。また、未消化のため買い取りをした年次有給休暇については、「年5日の年次有給休暇の確実な取得」の対象とはなりません。
なお、基準日から半年で退職するという理由で、年次有給休暇の付与日数を18日の半分の日数の9日に案分して減らすことはできません。
よって、年次有給休暇の年5日取得義務対象者が年の途中で退職する場合には、退職日までに5日取得させることが望ましいですが、年の途中において、「年5日の年次有給休暇の確実な取得をさせる義務」があるとまでは言えないと考えられます。