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旧代表者からの生前贈与財産を遺留分の対象から除外できる?

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  • 旧代表者からの生前贈与財産を遺留分の対象から除外できる?

    後継者に保有する株式を贈与しておこうと思いますが、将来において後継者以外の相続人から遺留分侵害額請求があるかもしれません。何か良い手立てはないでしょうか。

    当該株式を遺留分の対象から除外等できる方法があります。



     相続の生前放棄は法的にすることができませんが、遺留分は生前放棄することが可能です。しかし、遺留分の放棄手続きは、遺留分権利者に行ってもらう必要があることや事後の取消しの可能性も残されていることから、実務上は活用し難い面があります。
     一方で、経営承継円滑化法における民法特例によると、特例中小企業者等の後継者は、遺留分権利者全員との合意及び所要の手続き(経済産業大臣に確認申請、家庭裁判所の許可)を経て、①生前贈与株式を遺留分の対象から除外する又は②生前贈与株式の評価額を予め固定することが可能です。遺留分の放棄と違い、手続きを後継者自身が行いますので、目的達成までの過程が進めやすいと言えます。また、自社株式以外の財産についても遺留分の対象から除外できる制度(不随合意)もあります。
     この民法特例は、旧代表者から後継者が議決権のある株式の生前贈与を受けた場合に適用対象となり、旧代表者の生前中にしか行うことができませんが、相続発生後であれば難しい問題も先代経営者が健在のうちは合意の可能性も高まると言えます。
     適用受けるための後継者の要件としては、特例の合意対象となる株式を除いて既に50%超の議決権割合に達する株式等を保有している場合には適用を受けることができません。また、後継者は合意対象の株式を含めて議決権の50%超を保有しなければなりません。
     なお、民法特例は経営承継円滑化法における事業承継の支援策のうちの一つです。遺留分に配慮して生前贈与を実施する株式の評価額は相当多額になることが見込まれますので、その贈与税及び相続税の問題を解消するため、税制面では取引相場のない株式等の贈与税の納税猶予制度及び相続税の納税猶予制度(事業承継税制)が設けられています。事業承継税制の活用自体にもメリット・デメリットがあるため、活用にはさらに慎重な判断が必要ですが、事業承継においては議決権の確保や遺留分に対する配慮のほか、税制面の工夫も必要になります。

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