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特例事業承継税制が創設され、後継者への自社株式の贈与について、贈与税が猶予されると聞きました。息子への自社株式の贈与に活用しようか考えていますが、どのような点に注意したらよいでしょうか。
猶予取消リスク及び他の親族に与える影響を考慮して、適用を検討しましょう。
特例事業承継税制は、自社株式の評価が高く、株式の承継にかかる贈与税や相続税が高額で、納税資金の準備が難しい場合にとても有効です。次のようなステップで考えるとよいでしょう。
1)事業承継計画書を作成しましょう
2)自社株の承継にかかる税負担を計算しましょう
3)株価を下げ、税負担を軽減する方法を検討しましょう
4)他の相続人ともめないように話合いの場を持ちましょう
1)事業承継計画書を作成しましょう
いつ、誰に、どのように事業を承継していくのか、株式だけでなく経営の面でも方針をまとめて関係者と共有できるようにしておきましょう。こちらのページからダウンロード可能です。https://www.sansokan.jp/sob/keieisya/format/
2)自社株の承継にかかる税負担を計算しましょう
事業承継税制を使うかどうか、特例の適用を受けるべきかどうかを検討するには、まずは株式の承継にかかる税負担を知る必要があります。顧問の税理士に試算を依頼しましょう。
先代オーナーが保有している財産のすべてを考慮し、贈与税、相続税がどのくらいかかるかを試算し、資金負担が可能かどうかを確認します。
3)株価を下げ、税負担を軽減する方法
事業承継税制の適用を受けると、贈与税や相続税の納税が猶予されます。しかしあくまで猶予です。猶予される税額は少ない方がリスクを軽減できます。株価を下げる施策を取り、下がったときに贈与をすると猶予税額を少なくできます。株価を下げる方法はいくつかありますが、主なものは下記の通りです。
・先代オーナーに退職金を支給する。
・含み損のある資産を売却する。
・株式の評価要素である配当金額を少なくする。
4)他の親族ともめないように話し合いを
会社の株式を後継者に承継させると、株価が高い場合や相続財産のほとんどが会社の株式である場合、兄弟など他の相続人に比べて、後継者が引き継ぐ財産が多くなり、他の相続人が不公平感を感じることがあります。他の相続人の「遺留分」を侵害することになり、後継者が相続後に思わぬ金銭の請求を受ける場合もあります。
先代オーナーが元気なうちに、早めに家族会議をし、合意を取っておく必要があるでしょう。
大きなメリットのある制度だけに、潜むリスクを押さえて、納得してご活用して頂きたいと思います。