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隣接する府県に複数の事業所がありますが、各事業所の従業員の生活圏が同じです。それぞれの地域別最低賃金に近い賃金を支払っています。府県が異なる事業場での最低賃金はそれぞれの地域別最低賃金で良いのですか?
もし複数の最低賃金の適用を受ける場合には高い方が優先されます
地域別最低賃金を決定する場合には、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性にも配慮することとなります。具体的な金額は、都道府県ごとに決定されます。地域別最低賃金は、産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用される最低賃金として、各都道府県に1つずつ、全部で47件の最低賃金が定められています。
事業場の定義として、行政通達(平成11年3月31日基発168号)によると、事業の適用単位は次のように考えられています。
1.事業の名称又は経営主体等に関係なく、相関連して一体をなす労働の態様によって事業としての運用を決定します。
2.一の事業であるかどうかは、主として同一の場所かどうかで決まります。原則として同一の場所にあるものは一個の事業とし、場所的に分散しているものは別個の事業とします。しかし例外として、同一の場所にあっても労働の態様が著しく異なる部門であり、主たる部門と切り離す運用が適切な場合には別個の事業とすることができます。一方で、場所的に分散している事業であっても、出張所、支所等著しく小規模であり独立性のないものは、直近上位の機構と一括して一の事業として取り扱います。
本社がA県(最低賃金900円)で、事業所がA県とB府(最低賃金950円)の複数存在する場合、A県の勤務地で働く労働者にはA県の最低賃金が適用されますが、B府の勤務地で働く労働者には950円が適用されます。仮にA県の本社と一括してB府の出張所が一の事業として取り扱われる小規模で独立性のない事業所であっても、複数の最低賃金の適用を受ける場合は高い方が優先されます(最低賃金法第6条)。
隣接する府県で同一生活圏に事業所が存在し、それぞれの地域別最低賃金に近い給与水準で運用する場合には、事業所間での人事異動で注意が必要です。なぜなら、業務内容が全く変わらないのに、最低賃金が低い県に異動したことを理由に賃金が減額されると、労働者のモチベーション低下や異動拒否等のトラブルになる可能性があります。