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当社就業規則では欠勤した日の賃金は1か月平均所定労働日数で日割り計算して月額給与から欠勤した日数分の日割り額を控除すると定められています。1か月平均所定労働日数は21日です。所定労働日数が23日の月に3日出勤した場合は欠勤20日の日割り額を控除しますので、実出勤の日割り額よりも少なくなりますが、問題ないのでしょうか?
実労働時間に対する賃金が最低賃金を下回ると違法になります。
厚生労働省モデル就業規則でも欠勤控除について基本給を1か月平均所定労働日数で除する日割り計算が定められていますので、1か月平均所定労働日数を日割り計算の分母に用いることは一般的だと思われます。
ご質問について具体的に金額で示した方がイメージしやすいと思いますので、次の条件で欠勤した月の賃金を計算してみます。
(条件)
月額で定められた賃金(※)の合計額:250,000円
1か月平均所定労働日数:21日、1日所定労働日数:8時間
当月の欠勤日数:20日、当月の出勤日数:3日
1日当たりの賃金=250,000÷21=11,904…円
当月の欠勤控除額=11,904…×20=238,095…円
当月賃金額=250,000-238,095…=11,905円
3日働いたのに1日当たりの賃金と変わらない…という結果になります。
しかも時間割すると最低賃金を下回っていますので違法です。
11,905÷(3日×8時間)=496円 < 大阪府最低賃金(令和2年度 964円)
1か月平均所定労働日数で日割り計算した賃金を欠勤控除する方法では、「所定労働日数の多い月」に「数日だけ出勤した」条件が重なると、このような問題が発生します。
解決するには、
① 当月所定労働日数で日割りした賃金を欠勤控除する
250,000-(250,000÷23)×20=32,609円
② 1か月平均所定労働日数で日割りし、当月所定労働日数の半分以上出勤なら欠勤控除、半分未満なら日割り額×出勤日数にする
(250,000÷21)×3=35,714円
などの方法があります。
既に就業規則に定めている欠勤等の不就労時間の賃金計算方法を変更するときは、就業規則の改定が必要です。
(※)なお、月額賃金を基本給のみとするか、手当を含めるか否かについては、就業規則の定めによります。本事例では手当も日割り計算の対象に含めました。