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売掛金は2年で消滅時効にかかると聞いていましたが、2020年4月の民法改正によりルールは変更されるのでしょうか。権利を失わないためにどのような対応をしておくのがよいのでしょうか。
時効の完成猶予と更新を利用して債権の管理に努めましょう。
改正前民法は、職業別の短期消滅時効の定めがあり、売掛金は、「生産者、卸売商人又は小売商人が売却した産物又は商品の代価に係る債権」(旧民法173条1号)として、2年で消滅時効とされていました。
改正民法では、短期消滅時効は廃止されたため、売掛金は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年(民法166条1項1号)、(又は債権者が権利を行使することができる時から10年(民法166条1項2号))の期間で時効消滅することになります。
なお、改正民法は、2020年4月1日以降に生じた債権について適用され、支払時期について特に約束がなければ契約成立時から5年、支払時期について約束がある場合はその支払時期から5年で消滅時効が成立することになります。
債権の管理において、売掛金の権利を時効により消滅させないことが重要ですが、民法では、仮差押、催告、協議を行う合意が書面でなされた場合などの一定の事由が発生した場合に、所定の期間が経過するまで時効の完成を猶予する時効の完成猶予と裁判上の請求により権利が確定したとき、強制執行、権利の承認があったときなどの一定の事由が発生した場合に、それまで経過していた時効期間がまったく無意味になり、新たな時効期間の進行が開始する時効の更新とが定められています。
これらの規定と定められた事由を利用して消滅時効が成立しないように債権を管理していくのが一般的です。
例えば、債務者に分割金を支払ってもらったり、債務承認の書面に署名押印をもらうなどして、債務を承認をさせて、時効の更新を生じさせるなどが債権管理の方法の一例です。