今までいただいたご質問の中で多かった質問とその回答例です。
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取引先との間で、当社が納入した商品の欠陥を理由にトラブルになっていたところ、交渉の結果、一定額を支払うことで解決することにしました。この場合の合意内容を書面化する際、どのような点に注意すればよいでしょうか。
どの件について、どのように解決するのかを明記しましょう。
1 はじめに
和解とは、紛争の当事者が互いに譲歩することで紛争をやめる合意をいいます。和解のメリットは、裁判所における解決に比べて早期に紛争を解決できるほか、実態に即した柔軟な合意ができるので将来の二次紛争を防止できること等があります。一般的には次のポイントが重要です。
2 注意すべきポイント
(1) 紛争の特定
まず、どの件についての和解なのかを特定する必要があります。上記ご質問の例であれば、特定の商品に欠陥があったこと等を具体的に記載することが多いです。
(2) 解決方法の記載
ア. 紛争の解決にあたって、金銭の支払いや物の引渡しなどの給付をする場合には、その内容を記載します。その際、①誰が、②誰に、③いつまでに、④何を(金銭、動産、不動産等)、⑤どのような方法で(振込み、現状有姿等)、⑥どうするのか(支払う、引き渡す等)、を明確に記載します。
イ. 紛争の解決方法が権利の存否の確定による場合には、具体的な権利を特定し、その存否について明記します。不動産の所有権の所在などが典型例です。
(3) 清算条項
清算条項とは、和解条項に書いたもののほかに、当事者間に何らの権利義務がないことを確認する規定です。主に、本件に限らず当事者間には何らの債権債務もないことを確認する方法と、本件に限って当事者間には何らの債権債務もないことを確認する方法があります。当事者の関係性等に照らして、どちらがより適切かを検討しましょう。
(4) その他
その他、当該紛争の解決に必要な条項を盛り込みます。例えば、秘密保持条項(本件について第三者に口外しない)などが典型的です。
3 最後に
以上のように、和解にあたっては、繊細かつ適切に合意内容を記載することが求められます。この目的は、当事者間の認識を正確に合わせることのほか、もし相手方が和解を守らなかった場合でも、適切に法的救済を受けられるようにするためです。和解に際してご不明な点があれば、ご相談ください。
(回答日:2025年9月30日)