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弊社では、従業員が外で仕事をすることも多く、なかなか労働時間を把握することができておりませんが、会社として従業員の労働時間を把握・管理する必要はあるのでしょうか。
「正確な」残業代を計算し、また、トラブルを軽減するためにも労働時間の把握・管理は必要です。
1 労働時間管理義務について
使用者は、賃金計算の基礎となる労働時間を把握する必要があるため(労働基準法108条、労働基準法規則54条)、適切な把握・管理をする必要があります。
具体的には、タイムレコーダーを設置する、ICカード等を使用する、出勤退勤簿等を設置する等を行って、従業員の方の客観的な労働時間を把握・管理する必要があります。
2 労働時間管理を怠った場合
もし、従業員の方の労働時間把握・管理を怠っている状況下で、従業員の方から未払残業代請求等をされた場合、客観的な労働時間が判明していないため、従業員の方が残しているメモ等を元に、客観的な労働時間よりも遥かに多い労働時間を認定されてしまう可能性も存在します。
また、不幸にも、労働者の方が、業務によって亡くなられた場合等に、過労死・過労自殺であるとして責任追及された場合、客観的な労働時間よりも遥かに多い労働時間を認定され、責任を負わざるをえない可能性も存在します。
このように、客観的な労働時間を把握・管理していなかったばかりに、負わなくてもよい責任を負わざるを得なくなる可能性もあり、労使ともに決して健全な状態ではありません。
3 適切な労働時間のあり方
客観的な労働時間を把握・管理していれば、長時間労働の実態等を早期に発見し、その改善を行うことができ、その結果として、労働基準監督署からの行政指導、従業員の方の過労死・過労自殺の防止にもつながります。
そこで、普段から客観的な労働時間の把握・管理に努め、トラブルを未然に防止するために、適切な労働時間のあり方等を外部の専門家(カウンセラー、社会保険労務士、弁護士等)の協力を得ながら、模索するようにすることが重要です。