今までいただいたご質問の中で多かった質問とその回答例です。
詳細画面から専門家に、メール相談や直接会っての面談などを申し込むことができます。
海外取引において、クレームを未然に防ぐ方法やクレームが発生した場合の対応について教えてください。
契約書、規格書やサンプルの事前確認、出荷前検品、 保険付保、検査証明書などが大切です。
海外取引において、クレームを完璧に防ぐ方法はありません。しかし、クレームを極力回避するための対策を講じることが大切です。
クレームには品質に瑕疵がある場合の品質クレーム、数量不足・納期遅れなどのクレーム、契約後、市場価格が変動したため、あれこれ理由をつけて、値引き・値上げやキャンセルを要求してくるマーケットクレームなどがあります。品質に瑕疵があった場合、その原因が製造者や輸出者に帰する場合は、製造者や輸出者の責任ですので、商品を交換するか、返却するか、値引きするか、現地で廃棄する費用は製造者や輸出者が負担しなければなりません。しかし、品質上の問題が輸入者、現地の流通業者、販売者、ユーザーの責任に帰する場合もあります。現地での不適切な輸送、保管、使用方法などが原因の場合です。
また、品質上の問題がいつ、どこで、どのような原因で発生したか、誰の責任かを明確に特定できない場合もあります。そのような場合、売り手と買い手で、どちらの責任かを巡って紛争になる可能性があります。当事者同士で解決できなければ、仲裁機関による調停や裁判所の判断を仰ぐことになりますが、時間、手間、費用がかかりますので、企業にはかなりの負担になります。
そこで、クレームを極力回避するには、次のことに留意してください。
① 契約書にクレーム条項を明記し、品質に関する売り手や買い手の責任の範囲やクレーム手続きを明確にしておく。
② クレームする側に中立的な立場の検査機関によるクレーム内容を証明する検査報告書の提出を義務づける。
③ クレームの有効期限を明確にしておく。
④ 出荷前に商品の規格書やサンプルを送付して、双方で事前によく確認する。
⑤ 出荷前に買い手あるいは買い手の日本の代理人に商品を実際にチェックしてもらい、契約どおりの商品が出荷されることを確認(検品)してもらってから出荷する。検品済みであることを書面に残す。
⑥ 外航貨物損害保険、海外製造物責任保険などの保険を付保する。
⑦ 出荷時に契約どおりの品質・数量の商品が出荷されたことを証明する中立的な立場の検査機関による品質・数量証明書を発行する。一方、マーケットクレームは市場価格の変動に伴う意図的なクレームですので、契約時あるいは商品出荷時に代金を回収しておけば、リスクは回避できます。掛売りにするとリスクが高いので、極力、掛売りは避けるべきです。