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製造業を営んでいます。損益計算書はよく見るのですが、製造原価報告書は分析するなどの活用ができていない状況です。見るべきポイントを教えてほしいです。
4つのパートに分けて、売上高や限界利益との比較分析をしましょう。
製造原価報告書は決算書のうち、損益計算書に記載されている“製造原価”を詳しくした計算書です。つまり、ものづくりにかかった費用を、材料費・労務費・経費に分けたものです。製造原価報告書を分析することで、「どの費用をコストダウンすべきか」や、品質向上や作業効率の改善といった「生産性向上をどこから進めるのがよいか」などの糸口が見つかります。
1) 4つのパートに分ける
製造原価報告書は、大きく3つのまとまりで構成されています。材料費・労務費(人件
費)・製造経費です。さらに、製造経費を設備費とその他の製造経費に分けて、4つのパート
に分けることができます。
・材料費グループ
原材料費を集計した金額です。低減できるほど生産性が上がることになります。数量×単価
に分解でき、数量については歩留まりに着目し、ロスの把握とその削減についてできることを
検討することができます。
・労務費グループ
製造のための人件費を集計した金額です。作業人員と非作業人員(管理職・事務職など)に
分け、さらに作業人員については直接作業時間と非作業時間に分けて推移を確認し、非作業時
間にはどんな活動を充てているのかも確認できるとよいでしょう。
・設備費グループ
減価償却費やリース料、賃借料、修繕費といった設備などのものづくりの土台にかかる費用
を集計した金額です。修繕費については、メンテナンス費として経常的にかかるものと、突発
的にかかるものとに区分して把握しましょう。
・その他の製造経費グループ
何が増えて減っているのか、その理由を確認しましょう。
2)売上高や限界利益額との比較分析をしましょう。
4つのパートに分け、金額を把握したら、売上高や限界利益額(売上から売上に比例して増減する費用を差し引いた金額 付加価値額とも言います)に対する比率の推移を確認していきましょう。
まずは、 売上高に対する4つのパートそれぞれの金額の割合の増減を確認します。増えているとすると、生産性が下がっていることになります。
顧客との取引形態によって、材料を自社で手配するのか、支給してもらうのかによって、売上高のボリュームが変わってきますので、どちらのパターンも混在するのであれば、限界利益額と労務費・設備費・その他の製造経費の割合の推移を確認するとよいでしょう。
(回答日:2024年9月2日)