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最近、多様な正社員制度を導入している会社が増加していると聞いています。注目されるようになってきた理由と、通常の正社員と何が異なるのか、具体的な活用イメージを教えてください。
仕事内容・勤務時間・転勤・配置転換の範囲が限定されている正社員をいいます。
最近、注目されるようになってきた理由は、これまで企業があらかじめ定めた就業条件に該当する働き方ができなくなると、退職や非正規雇用への雇用区分に変更するという運用を行うところもありました。新規に正社員募集をすれば、同様のレベルの人材を採用できるケースが多かったため、人事管理上の手間をかけるより、効率性を重視した運用とも言えます。生産年齢人口が減少していく中、必要な採用ができず、事業活動に支障が生じるケースも出てきています。そのため、一時期のライフイベントで働き方に制約が生じても、多様な働き方を認めて、正社員としての雇用を継続した方が、採用・教育コスト、業務の生産性においても、優位に働くケースが生じてきているためです。
通常の正社員はフルタイム勤務、勤務地、職務を限定しない形で雇用契約を締結する場合が多いですが、多様な正社員は①勤務地限定(転勤するエリアが限定、転勤がない)正社員②職務限定(担当する職務や仕事の範囲が限定)正社員、③勤務時間限定(フルタイム勤務でない、残業が免除されている)正社員と便宜上、類型化されています。ただ運用では上記の類型にこだわるのではなく、各人が抱えている課題を解決し、継続勤務できる環境を整えるため、上記類型を組み合わせて制度設計することで使い勝手のよい制度となります。
例えば、育児や介護を理由に離職する正社員がいる場合には、勤務地限定と勤務時間限定を組み合わせて、転勤や長時間労働等が困難な各人の事情に合わせて、継続勤務できる働き方を用意するということが考えられます。その他、有能な非正規雇用者が雇用の不安定さから離職してしまうケースや高度な専門性を必要とする業務を担える人材がいないケースにも活用することが可能です。
またこれらの制度を設けることで、採用の入口の段階で柔軟な働き方ができる会社として認知され、採用競争力強化にもつなげることができます。