今までいただいたご質問の中で多かった質問とその回答例です。
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インターネットを介して、他者の創作した様々な動画が配信されています。この様な配信動画を、セミナー等(学校の授業等を除く)で受講者に視聴させるため、インターネットを介して再生する行為は、著作権侵害でしょうか?
公衆に対する場合、原則著作権侵害になりますが、例外があります。
公衆によって直接受信されることを目的として動画を配信(送信)する行為及びこのためにサーバに動画をアップロードする行為は、公衆送信という行為になります。この公衆送信は、公衆送信権という著作権で保護されます。また、公衆送信される著作物を、受信装置を用いて「公に」伝達する行為は、公への伝達権という著作権で保護されます。
従って、リアル会場で開催されるセミナーや講義(セミナー等)で、サーバにアップロードされた他者の動画を、インターネットを介して再生する行為(以下、「配信再生行為」と記載します)は、公の伝達権侵害になる可能性があります。また、オンラインセミナーでの配信再生行為は、公衆送信権侵害になる可能性があります。
「公に」とは、「公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として」という意味です。「公衆」とは、不特定の者と、特定かつ多数の者です。従って、家族や友人数人に対して視聴させたり、送信したりする場合には、公の伝達権侵害や公衆送信権侵害にはなりません。誰でも申し込み出来るようなセミナーであれば、「不特定」となるため、「公衆」に該当し、公の伝達権侵害や公衆送信権侵害となります。
上述したように、上記配信再生行為は、公衆に対する場合、原則、著作権侵害になりますが、一定の例外的な場合には、著作権が制限されて著作権侵害になりません。例えば、紹介、参照、論評その他の目的で自己の著作物中に他人の著作物の原則として一部を採録等することを引用といいますが、一定の条件を満たす引用は著作権侵害にはなりません。セミナー等で、講師の意見を主張・補強等するために、上記配信再生行為をする場合、上記一定の条件を満たせば、著作権侵害になりません。
なお、動画共有サービスの利用規約によっては(コンテンツ利用のライセンス付与をサービス利用条件とする等)、公衆に対し、著作権が制限されなくても、上記配信再生行為は著作権侵害にはならない可能性があります。