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現在、製造業で受注がほぼ下請けになっています。下請けから脱却したいと思っていますがどのようにすればよいでしょうか。
市場環境を把握し、自社の強みを洗い出して戦略を立てましょう。
1.市場環境を把握する
下請けしている事業者は、元請け事業者のご要望にお応えすることで成り立っていました。しかし今や市場環境が変わりつつあります。下請け事業者は営業をしなくても受注できるメリットがありますが、自社で経営をコントロールしづらいデメリットがあります。事業者の目線が元請け事業者向けになっているので、市場環境をあまり把握されていない場合があります。そこで自社が属している業界の市場環境を把握します。インターネットや図書館などで業界の市場動向を調査します。業界を分析した上で、自社が今後どのような業界のどのようなポジションになりたいのかを検討する必要があります。
例えば、①下請け事業者として取引先事業者数を増やす、②強みが活かせる別市場へ広げる、③下請け事業だけでなく独自商品を作り販売する、などが挙げられます。
いきなり下請け脱却をめざさなくても当分の売上は必要ですので、下請け事業でしっかりした基盤を作りましょう。自社の現状と市場環境を考慮した上で、今後どのようなポジションを狙うのか中長期的に検討します。
2.自社の強みを洗い出して戦略を立てる
元請け事業者の仕事をこなしてこられたので、独自の技術力やしっかり管理されている納期があると思います。そして従業員の皆さんで自社の強みを上げていきます。強みというのは、競合と比べて優れている点です。一人最低10個を上げていきましょう。経営資源では、ヒト、モノ、カネ、情報などから検討します。製造要素では、品質、コスト、納期などから検討します。競争優位性の要素としては、他社にはない資源、希少性、模倣困難性、組織力などから検討し、色々な角度から強みを洗い出していきます。自社の強みが出たら、さらに伸ばせそうな強みを挙げて、業務の幅を広げます。そして、どの市場環境へ進むのか戦略を立てます。新たな市場の取引先には業務の幅を広げた自社の強みをアピールして、受注量を増やします。余裕がなければ下請け事業者のままで自社の強みを活かして取引事業者を増やしてもよいでしょう。
3.営業で取引先を増やす
取引事業者を増やすには営業活動を行います。自社の業界がどのような企業と取引をしているのか調べてアポイントをとり営業を行います。元請け企業の取引先が多角化している場合にもチャンスがあります。元請け企業の取引先に営業して、別業界に進出することが可能です。また、営業では展示会に出展するやり方もあります。展示できる製品やパネル写真を用意して出展します。狙っている業界の展示会に出展すると、顧客も同じ目的で来場するので成約の確立が高くなります。展示会では製品そのものよりも、自社の技術でできることを説明します。製品そのものよりも技術を販売することで取引先が増えていきます。
4.社内の意識を変える
新規取引先を見つけても、従業員は従来取引の意識のままの場合が多いです。新規取引先が増えると従来の取引業務をしながら、新規取引先の業務が加わることになります。社長は新規取引を目標に加えて、「新規取引を何としても成功させる」ことを社内に宣言します。新たな顧客の要望に対応することで、自社の強みが増えていくことを説明します。社内の意識を変えることで、社内が一体化して新たな目標に進むことができます。