今までいただいたご質問の中で多かった質問とその回答例です。
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新規の海外取引先に製品を売り込むに当り、どのような点に留意して
契約・価格交渉を進めたらよいか教えてください。
4つの重要項目をカバー、全項目をまとめて交渉し、合意をめざします
貿易取引の場合、主に下記4点を押さえて条件提示と交渉をする必要があります。
1.海外向製品の仕様
製品にもよりますが、日本で販売しているものに一切手を加えず、そのまま海外に
販売できるケースは稀と思われます。相手先国の法規制や客先の要望を確認し、
これらに準拠した海外向仕様とすることが重要です。表示や印刷物の言語変更や認証取得、
輸出梱包への対応などもここに含まれます。変更度合によりコストや納期に影響します。
2.価格、数量条件、決済通貨・手段
上述の仕様に基づいた価格提示を行いますが、製品の引渡し場所、売主/買主の役割、費用負担区分を定型パターン化した「インコタームズ」を使うのが得策です。
価格提示には機種別個別採算の管理、貿易に関する各種費用の理解が必要です。
又、価格見積の前提となっている数量条件(最低注文数量、発注単位等)や円建、米ドル建などの決済通貨、前払い、後払い、信用状などの決済手段も併記します。
3.納期
製品にもよりますが、開発に要する時間、調達・生産に要する時間、国際輸送に要する時間、買主が購入の意思決定をしてから、実際に製品を入手するまでこれら時間の合計が必要となります。一般的に貿易の納期は「船積み時期」で合意する場合が多いですが
買主がいつまでにどのような意思決定をすれば、納期がいつになるのか、明確な条件付けが重要です。
4.その他取引条件
品質保証など、上記3項目でカバーしていない項目を条件付けします。
これら4項目をEstimate(見積書)と呼ばれるフォーマットに記載しオファーします。重要なのは、これら4項目は相互に関連しあっている為、ばらばらでなく全項目をまとめて交渉する事です。最初の条件提示が即受諾される事はまずないので、客先から条件要望(カウンターオファー)が入れば、仕様/価格/納期/その他条件のどこをどの程度譲歩すれば交渉が進展するのか検討、返信し、これを繰り返して合意をめざします。合意後は契約書や注文書などを取り交わし、契約を履行してください。