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海外取引の実施にあたり、契約書は必要でしょうか?またその役割について、教えて下さい。
海外取引において契約書の締結は必ずしも必要とはされてはいませんが、取引を守るという点からも、非常に重要です。
海外取引における「契約」とは、その国が準拠する法律体系によって、様々な解釈があるなど、日本で一般的に考えられる「契約」とは異なる場合があります。
また国際間取引では、商習慣などの違いによる問題発生が起こることも多く、取引上のトラブルを回避するためにも、相手方と書面で条件を定めることは、契約書(英語の場合はContractやAgreementといった呼称)、や覚書(英語の場合はMemorandumやNote, Letterといった呼称)等の形態に拘らず、非常に重要です。
法律体系が異なる、国際間の物品売買に関する契約や損害賠償条件の原則を定めた国際条約としては、「ウィーン売買条約」が国連で定められており、日本でも2009年から発行されています。ただ同条約は売買契約におけるクレームの提起期間は「物品の引渡しから2年間」とされているなど、一般的な国際売買や日本の商法と異なる規定もあるため、「ウィーン売買条約」の適用を、個別の契約書上で排除または変更することができます。
なお契約締結に際しては、契約の開始に関する諸条件を定めるのみならず、実際の運用、契約の解消に関する諸条件についても、配慮、言及することも必要です。
契約締結に不安がある場合は、国際弁護士や司法書士にご相談されることをお薦めします。
実際の契約に至る国際間交渉では、当事者双方が取引条件に関する合意が形成されることを通して、契約締結がなされますので、契約者自身の主体的な関与と、文書化された文言等には遺漏が無いか再考されるなど、慎重な注意を期して取組まれることが大切です。