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売上目標を作って、社内で共有しています。ただ、社員には、売上だけでなく、利益についても意識してほしいと考えています。どのように伝えるとわかってもらえるでしょうか。
どちらも大切です。利益の必要性と利益のしくみを伝えることをおすすめします。
売上という指標は、わかりやすく、イメージもしやすいので、目標にしやすい指標だと思います。しかし、会社経営にとって大事なのは「最終いくら残るのか」という利益ですね。ただ、利益という指標は、社内では見えにくく、伝えづらいものになっているかもしれません。また、利益が出ているということを、どのように捉えるかは人それぞれなので、どう意識してもらうのがよいのか、悩みますね。
中小企業では、一人ひとりのパフォーマンスが会社の利益に大きく影響を与えると思います。したがって、売上だけでなく、利益のことも考えてくれる社員さんがいたら、社長にとって心強い存在となります。
では、どのように、売上だけでなく、利益についても意識してもらうのがよいでしょうか。
1.なぜ、利益が必要なのかを伝える
まず、会社にとって利益がなぜ必要なのかを伝えることが必要だと思います。利益は、売上から必要な仕入や経費を差し引いた残りのお金となります。これがなぜ会社にとって必要なのかを伝えるとよいと思います。
・売上はいつもあるとは限らない。売上の減少に備えるために必要だから
・突然の事故に備えるために必要だから
・借入金がある場合、利益がないと返済の原資がないから
・将来の設備投資に備えるために必要だから
・新事業を開発するために必要だから
会社にとって必要な理由は様々ですが、守りと攻めの両面で会社の存続に必要であることを理解してもらうことが大切だと思います。
2.利益はどうやって生まれるのかを図解で示し、理解してもらう
次に、会社の利益はどのようなしくみで生まれているのかを理解してもらうとよいと思います。数字や言葉だけで説明しても、人によって理解度はまちまちとなるでしょう。ここで活用したいのが「図解」です。
自社の決算書から損益計算書をこのように図解にすると伝わりやすいと思います。変動費は売上が増えるにつれて増える費用、たとえば仕入や、商品を発送するときの発送費などです。売上から変動費を引いたものが限界利益で、正味の粗利、会社の「手取り」のようなものです。
限界利益から、人件費や家賃などの経費を差し引き、利益(経常利益)が残ります。会社にとって重要なのは、この「経常利益」をいくら残せるかです。
この図で理解してもらえると、「売上だけでなく、『限界利益』を多くすることが大切なんだなぁ」「『給料の3倍の粗利を稼げ』というのはこういうしくみだからか」「かかっている費用にも気を付けないといけないな」と考えてもらえるようになります。
社員の全員が理解できなくても、幹部クラスには、ここまで理解をしてもらったうえで、必要な目標売上と行動計画が立てられるようになると心強いですね。