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毎期の経営目標を立てる時や、創業・第二創業の計画を行う時、堅実に事業を維持していくために目標とするべき売上高について、どのように計算すれば良いか、考え方を教えて下さい。
損益分岐点売上高の考え方を理解することが重要です。
目標売上について、「いくら上がればいいな。」という願望ではなく、実際に事業を維持するために「これだけ達成しなければならない。」というノルマを計算しておくことは、個々の販売促進施策や商品価格設定、資金繰り計画を策定するためにも重要になります。このため理解しておきたい財務に関する知識は「損益分岐点売上高」の計算方法です。
損益分岐点売上高とは、利益がちょうどゼロになる(=赤字が出ない最低限)売上高という意味です。元々は金融機関などが、企業の収益性や安全性を評価するため利用する財務分析手法ですが、企業の側においては必要な売上を試算する計算方法として応用が可能なのでご紹介します。
計算をするためには2つの要素を把握する必要があります。
①固定経費
売上に関係なく毎月事業維持のため固定的に発生する経費です、代表的なものは人件費、支払家賃、通信費、広告費、光熱費、保険代、支払利息などです。
(事例として、固定経費60万円とします。)
②粗利益率
売上から原価(製造業の製造原価や販売業の仕入原価など)を差し引いて計算した粗利益が、売上に占める利益率のことです。1-原価率と計算することも出来ます。
(同じく、40%とします。)
損益分岐点売上高は、固定経費÷粗利益率 で算出することが出来ます。
(事例として、60万円÷40%=150万円となります。検算をすると、150万円の売上に対して、40%の粗利益が出ると60万円です。この60万円でちょうど固定経費がまかなえるので、赤字の出ない利益ゼロが150万円の売上で達成されることになります。)
この計算方法を応用して、金融機関の返済元金や、個人事業の事業主の生活費となる所得など、必要利益を加えて計算をすれば、事業維持に必要な目標とするべき売上を計算することが出来ます。
(固定経費+必要な利益)÷粗利益率=目標売上高(ノルマ)
固定経費と粗利益率を把握することが出来れば、簡便に目標売上を算出できるので、経営計画策定にぜひお役立てください。