民法改正で遺留分の考え方はどう変わるの?の相談詳細(回答) « よくある経営・法律相談 « 経営に役立つ情報 « サンソウカン経営相談室

大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

民法改正で遺留分の考え方はどう変わるの?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 民法改正で遺留分の考え方はどう変わるの?

    遺留分に関して民法改正がされたと聞きました。遺言書作成時には遺留分に気を付けないといけないと思いますが、どの様な部分が変わったのでしょうか。

    遺留分侵害額請求は原則として金銭債権に変わり、算定期間にも制限が入ります。



     民法改正前の遺留分制度では、遺留分減殺請求には物件的効果が生ずるため、例えば対象財産が不動産であれば受遺者等の了解なく一方的に遺留分登記を行うことが可能でした。実際には金銭によって遺留分は解決されることがこれまでも一般的でしたが、金銭による解決はあくまでも例外であり、受遺者等が現物ではなく金銭による価額賠償を希望した場合に初めて転換できるものでした。
     改正後は、遺留分減殺請求が「遺留分侵害額請求」と名称変更され、金銭による代償請求が原則となりました。(例外として、受遺者等から別段の意思表示があった場合にのみ現物財産への権利を生じさせるものになります。)
     この改正の影響として、遺留分は金銭債権となったことから、遺産争いによる共有状態を避けることが容易になりました。また、従前の制度では遺留分減殺請求があった場合に遺言執行者が遺言内容を執行すると遺留分権利者の権利を侵害するおそれがありましたが、遺言執行上の問題も大幅に少なくなることが予想されます。
     さらに、これまで遺留分の算定基礎財産に算入される贈与に年数制限はありませんでしたので、過去何十年前の贈与であっても遺留分の計算要素になる可能性がありましたが、改正により、遺留分算定の基礎に算入される相続人への贈与は、原則として10年以内のものに限ることとなりました。(ただし、遺留分を侵害すると知って行った贈与は10年前より前のものであっても対象になります。また、遺言がなく、遺産分割協議になる場合は、これまで通り年数の制限なく特別受益が計算されますので、混同しない様にしておかなければなりません。)
     これらの改正は令和元年7月1日以後開始した相続より適用されますが、遺留分算定の年数制限のことを踏まえると、早期の相続対策の着手が紛争を未然に防ぐことに繋がると考えます。

カテゴリーで相談を探す

ページトップへ戻る