今までいただいたご質問の中で多かった質問とその回答例です。
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原価管理の重要性は理解できるのですが、どこから手をつけていいのかわかりません。また、原価管理を行ったときの具体的効果を教えて下さい。
簡単な原価計算から始めるだけで、原価意識が高まります。
原価管理は事業内容、規模等により最適な方法が違ってきますので、これが正解と言う教科書はありません。また、正確な原価を求めれば求めるほど、手間や費用がかかりますが、かならずしも精緻な原価を計算することで目的に近づくとは限りません。大切なことは、「できること」から手をつけることです。そして少しずつ事業の実態に合った方法に改善していきます。
ここでは、一番簡単な原価計算の方法を紹介します。
・原価は製造原価と販売管理費に分かれます。
・製造原価を材料費と加工費に分けます。
・材料費は、図面から、材料使用量×材料単価で計算します。外注部品も材料費です。
・加工費は加工チャージ×加工時間で計算します。
・加工チャージは決算書の製造原価明細書から計算します。材料費以外の製造経費を、自社の作業者の総労働時間で割ります。例えば、作業者が10人で年間2000時間働いていれば、総労働時間は20,000時間です。
・販売管理費は、決算書の販売管理費を製造原価で割り算して、製造原価に対する比率を計算します。例えば10%なら、製品の製造原価に10%を加算します。
ここから、事業の実態に合わせて方法や精度を改善していきます。
原価管理とは、製品別の原価計算を利用して収益につなげる活動です。具体的に原価管理ができると良くなることをお伝えします。
① 製品別の原価がわかるとできること
・どの製品が儲かっているのか、どの製品が損しているのかわかる
・儲かる見積りが出せる
・値上げ交渉の作戦が立てられる
・競争の激しい発注案件を受注すべきかどうか判断できる
② 原価の明細が分かるとできること
・原価低減の切り口が見つかる
・現場改善効果が「見える」
・設備投資の判断ができる
③ 原価の理解が深まるとできること
・商品戦略が立案できる
・もうかる商品が開発できる
多くの経営者は、顧問税理士などから指導を受けて決算書の勉強していると思います。しかし、なかなか原価管理あるいは管理会計まで踏み込めないのは、財務諸表のような一定のルールがなく、事業の実態に合わせて作り上げる必要があるからです。
まずは、簡単な方法から始めて下さい。原価管理は、必ず企業改革の第一歩になります。