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新たな事業の柱として、新規事業の立ち上げを計画しています。事業計画書を作成して、融資の申込をしようと考えているのですが、どのような内容にすればいいでしょうか。
実現可能性が高く有望と判断してもらえる事業計画にしましょう。
金融機関が融資可否を判断する時にもっとも重視する点は、着実に返済してもらえるかどうかです。借入金を返済するためには、計画している新規事業が軌道に乗り、利益を出していく必要があります。ですので、事業計画書は以下の2点をしっかり説明できるものにしましょう。
1.新規事業の計画、及び計画通りに実現できる理由
2.新規事業を含めた会社全体の資金の流れと借入金を返せる理由
また、融資を受けたいのは、運転資金なのか、設備資金なのか、資金使途を明確にしておきましょう。
以下にそれぞれについて説明します。
1.新規事業の計画、及び計画通りに実現できる理由
実現可能性が高いと判断してもらえる事業計画にするために以下の3点について記載します。
(1) 市場や顧客の状況、競合の状況
市場や顧客の状況、競合の状況を正しく理解していなければ、客観性のある事業計画とはならず、事業の実現可能性が低いと見なされかねません。市場や顧客の状況、競合の状況を正しく理解した上での新規事業であることを理解してもらえるように、市場や顧客の状況、競合の状況について具体的に記載しましょう。
客観性を高めるためには、数字で表現できる箇所については数字で表現することも一つのポイントです。(たとえば、市場規模の推移や見込顧客の売上などの動向や競合の市場シェアなどです)
(2) 新規事業を成功させることのできる自社の強み
新規事業を計画通りに実現するためには、自社が何らかの競争優位性を備えていることが不可欠になります。競争優位性とは、その市場において、自社が顧客から選ばれる理由であり、また、競合より優位に事業展開が可能な理由です。
ですので、競合の類似商品・サービスを踏まえた上で、どのような点に新規性や競争優位性があるのかを明確に記載します。具体的には、事業に関する経験、実績、ノウハウ、技術、独自の仕入ルート、顧客基盤、社内体制などです。こちらも数字で表現できる箇所については、できるだけ数字で表現するようにします。(たとえば、経験年数、実績件数、技術レベル、見込顧客数などです)
(3) 新規事業の具体的な推進計画
市場・顧客・競合を正しく理解し、自社に強みがあったとしても、新規事業を成功させるための具体的な行動計画がなければ、事業の実現は危ういものとなります。新規事業をどのように立ち上げ、推進していくのか、顧客獲得していくのかという具体的な推進計画を記載します。
顧客獲得という点では、顧客ターゲットが明確であるかどうかも実現可能性を判断するための一つの材料です。また、必ず計画通りに進めることができるとは限りませんので、リスクが考慮されているのか、リスクへの対応策が立案できているかなども一つのポイントとなります。
なお、設備資金の場合は、設備が新規事業の実現に不可欠であることを示す必要があります。設備投資を行う目的や効果について記載します。
2.新規事業を含めた会社全体の資金の流れと借入金を返せる理由
新規事業を含めた会社全体の資金の流れと借入金を返せる理由として必要な内容は、前項1の新規事業計画と整合性のある数値計画です。具体的には、損益計画と予定資金繰り表です。
損益計画は、既存事業、新規事業に分けた内訳を示すことで、新規事業の損益計画と会社全体の損益計画が分かる内容にします。新規事業の損益計画は、上述の新規事業の推進計画(設備投資、販売促進、人員増強など)を反映させた内容にします。
予定資金繰り表は、売上の入金や費用の支払い、設備投資などの資金の流れを示したものです。損益計画と連動させたお金の流れを示すことで、いつ、どれくらいの資金が必要になるのか、予定通りに返済が可能かの見通しを示すようにします。予定資金繰り表には、申し込む予定の融資についても織り込んでおきましょう。
また、融資の申込に際して、設備資金の場合は、見積書なども添付するようにしましょう。