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長年、事業をする中で、既存事業が先細りになっており、新規ビジネスの展開を考えています。新規ビジネスの事業化における留意点について教えてください。
新規ビジネスの特性(既存事業との違い)に留意して進める必要があります。
既存事業には、事業活動を遂行する中で蓄積してきた、多くの知見やノウハウがあります。
新規ビジネスの事業化においては、自社の今までの知見やノウハウが通用しません。そのため、新規ビジネスの事業化では、以下の点に留意することが必要です。
1.複数シナリオを検討する。
既存事業ではノウハウがありますので、すでに把握している最適な方法によって、効率的に事業を遂行し、利益を上げることが求められます。
新規ビジネスでは、どのように事業化を進めればよいかが事前に十分にわかっているとは限りません。
そのため、「計画通りにいかなくて当然」という認識をもつことが必要です。計画通りにいかなかった場合は、「失敗」ではなく、「このシナリオ、あるいは方法は可能性がないことがわかった」、つまり、不明であったことが一つ明確になったと考えることが望ましいです。
また、計画通りにいかないことを前提に進めるわけですので、一つのシナリオだけでは不十分です。複数シナリオ、複数の方法を立案して比較検討し、実現性が高い選択肢から実行すること、また、早期に不明点を解消する取り組みを行うことが必要です。
そのためには、意思決定を速く行い、PDCA(計画→実行→検証→次のアクション)のサイクルを速くまわすことが求められます。
予算についても、複数シナリオに資源配分できるように、不確実な段階では、一度に多額の投資を行わないように留意します。
2.最適な実行体制で臨む。
新規ビジネスの担当者は、既存事業とは兼任ではなく、専任体制とすることが望ましいです。新規ビジネスでの仕事の進め方は、試行錯誤しながら推進することになりますし、すぐに成果が出せるとは限りません。既存業務との兼任では、既存業務のルーティンワークに忙殺されて、新規ビジネスに十分に時間を投入することができません。
また、可能であるならば、新規ビジネスの担当者には、できれば優秀な人材を投入したいものです。多くの場合、優秀な人材は既存の主要な事業で忙しいことが多いですが、道筋がわからず、自分で道を切り開く必要のある新規ビジネスは一般に高い能力を必要とします。
また、新規ビジネスでは、成果を出すまでに時間を必要とする場合が多いので、既存事業と新規ビジネスでは、評価指標や目標設定を切り分けることが望まれます。
同じ評価指標(たとえば売上金額)で評価されたのでは、新規ビジネスの担当者はモチベーションを維持することが難しくなります。
以上、新規ビジネスの特性を考慮した進め方、実行体制について説明しました。なお、このQAでは新規ビジネスについて説明しましたが、新規顧客開拓・新規販路開拓でも同様の考慮が必要です。