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大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

経営者の高齢化問題―「事業承継,悔いを遺したらあきません」

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  • 経営者の高齢化問題―「事業承継,悔いを遺したらあきません」

    私は大阪市内で中小企業を経営していますが,去年還暦を迎えました。息子がいますが,大企業で働いているので,後を継いでくれるか分かりません。今後どのようにしていけばいいか,経営者の高齢化に伴う弊害と対応策を教えてください。

    経営者の高齢化は企業の存続に関わる問題です。事業承継は準備に時間が必要です。


    1 経営者の高齢化による弊害 
     中小企業の場合,経営は社長の個性と能力に依っており,社長が単独で経営の方向性を決定する場合が多く,企業の業績が経営者個人に依存する影響が大きくなります。一般論ではありますが,人間は年齢を重ねるとともに体力も衰え,考え方も保守的になる傾向があるため,経営者の高齢化が進むと,企業の存続に影響を与えることになります。すなわち,経営者の衰えが企業の衰えに直結してしまうのです。そのため,経営者にとって,高齢化問題(事業承継)は避けて通れない課題です。
    2 経営者の高齢化への対応策
     経営者が高齢化により引退する場合の対応策として,①後継者に経営権を譲る,②企業の売却または譲渡(M&A)という選択肢があります。①の後継者は,親族の場合と,親族以外の社員等の場合があります。これらの対応策がうまくいかなければ,せっかくの会社も廃業せざるを得ません。
     後継者に経営権を譲る場合にも,後継者候補の選定や,事業用財産承継の方法・タイミングなど計画を立てねばならず,準備に5〜10年必要です。ご質問のように,息子さんがいても大企業に勤めている場合は,継ぐことを拒否することもあります。後継者が見つからず,M&Aで売却先を探すにしても,さらに年単位の時間を覚悟しなければいけません。
     事業承継は,単なる資産の移転ではなく,従業員や顧客・取引先,商品・ノウハウ等を総合して承継することです。いわば,経営理念を引き継ぐことです。そのためには,まずは経営者自身が引退時期を決め,会社の経営資源,経営リスク,後継者候補の状況等の現状をよく把握したうえで「何を」「いつ」「どのように」実施していくか,綿密に考えておかないと,事業承継はうまくいきません。
     悔いを残さないよう,最悪の事態を想定して,早め早めに準備していくことが必要です。

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