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業績の向上にはやはり社員の成長が不可欠だと実感しております。人材育成につながる人事評価(考課)を行うために、具体的のどのような評価項目で評価すべきでしょうか。一般的な事例等があれば教えてください。
「結果」と「プロセス」の両方を客観的に評価することが肝心です。
人事制度全体の役割を一言で言えば「なってほしい人材になってもらう」ための仕組みです。その中で、人事考課制度の役割は、実際に個々の社員が、「なってほしい人材にどれだけ近づいているか、その充足度・達成度を定期的に観察し分析する」ということにあります。この人事考課によって、各人ごとに、何ができていて何ができていないかが明らかになります。あるいはどこが優れていて、どこが弱点であるのかが明らかになります。そして、その結果を踏まえて個々の計画的な育成や適正な配置、あるいは給与や賞与などの処遇決定に利用されていきます。
人事考課では、結果とプロセスの両方をしっかりと評価するということが肝心です。1990年代を中心に流行した成果主義人事制度の最大の失敗は、短期的な成果を重視し、かつ給与や賞与への反映手段としてのみ利用して点でした。これは単なる「結果査定主義」でしかありません。社員の成長を促し、組織として継続的に高い付加価値を生み出し続ける仕組みを作り上げていくためには、どのような行動やプロセス、あるいは職務能力や取り組み姿勢といったものが成果に結びついたのかを分析し、各人の次の改善行動へ結びつけたり、また組織の知恵として蓄積し共有化していったりすることが不可欠です。
考課項目の一般的な例を図表に示しました。ここでは、人事考課のカテゴリーを3つに分け、「実績考課」(一定期間における仕事の成果を評価)、「能力考課」(考課時点での職務遂行に必要な能力の充足度を評価)、及び「態度考課」(一定期間における仕事に対する取組姿勢や意欲を評価)として、それぞれ考課項目を設定しています。この事例は比較的オーソドックスな考課項目で、プロセス部分の要素についても、もれなくダブりなく網羅されていると思いますので、1つの参考にしてください。
(図表)考課項目の具体例
カテゴリー | 考課項目例 |
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実績考課 |
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能力考課 |
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態度考課 |
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