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セル生産方式の特徴とメリット・デメリット

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  • セル生産方式の特徴とメリット・デメリット

    よく耳にする「セル生産方式」とはどのような生産方式ですか?メリットとデメリットを教えて下さい。

    1人または少数の作業者チームで、製品の組立工程を完成まで受け持つ生産方式です。


    セル生産方式とは、1人または少数の作業者チームが、部品や工具をU字型などに配置したセルと呼ばれるラインで、製品の組立工程を完成まで受け持つ生産方式です。

    従来の大量生産型のモノづくりで採用されてきたライン生産方式は、単一の製品を大量に作るのには適していましたが、
    ・ 分業を進めるほど、投入から完成までの仕掛り在庫は増加し、製造リードタイムが長くなる
    ・ 段取り替え時間がライン全体に影響するため、頻繁な生産品目の変更に追従しにくい
    ・ 最も時間のかかる工程(ボトルネック工程)によって全体のアウトプット量が制約される
    などの理由から、多品種小ロット生産には対応しづらい側面を持っています。

    それに対し、セル生産方式は以下の様なメリットがあります。

    1. 多品種少量生産に適している
    各セルが独立したラインとみなせるため、それぞれが異なる品目を作ることで多品種少量生産にうまく対応でき、一つのラインで多品種を流す場合に比べ、結果として段取り替えの回数も減ります。
    2. 仕掛り在庫が圧縮できる
    セル内で組立が完結するため、工程間の仕掛り在庫が大幅に削減され、製造リードタイムも短縮できます。
    3. 生産変動への適応力が高い
    コンベアラインに比べ、設備が簡便なセルでは、需要に応じたセルの増減が容易であり、レイアウト変更にも柔軟に対応できます。
    4. 他の工程の遅れに影響されない
    各セルが独立して生産を行うため、他のセルの遅れによる影響が発生しません。
    5. 作業者のモチベーションの向上
    完成までを一貫して受け持つため、責任感と達成感が芽生えます。

    一方で、セル生産方式を実現するためには、一人あたりの作業範囲が広くなるため、作業者が高いスキルレベルを有した多能工になる必要があります。作業者への教育時間がかかるため、作業者が頻繁に入れ替わるような流動性の高い環境には適しません。

    セル生産方式は、情報機器メーカーや家電メーカーだけでなく、最近では、自動車部品や工作機械などの重工業へも普及が進んでいます。
    セル生産方式の特徴を十分理解したうえで、フィットする製品群からトライしてみてはいかがでしょうか。

回答した専門家
生産管理

顯谷 敏也

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