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大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

工場内の仕掛り在庫圧縮の具体的取り組み方法

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  • 工場内の仕掛り在庫圧縮の具体的取り組み方法

    仕掛り在庫が増えて、工場のスペースを圧迫しています。仕掛り在庫を効果的に減らす方法を教えて下さい。

    全体最適の視点から、生産工程の「流れ化(同期化)」に取り組んで下さい。


    仕掛り在庫の増加による影響は、工場の生産スペースを圧迫するだけではありません。在庫の増加により、キャッシュが工場で寝る(費用回収が遅れる)ことになりますし、生産リードタイムが長くなることで、市場要求に対する迅速な対応も難しくなるのです。

    仕掛り在庫の増加は、「まとめて造れば安くなる」というダンゴ生産や、各工程の能力バランス差、品質問題等でモノがスムースに流れず滞留が発生してしまうなどが大きな原因です。
    このような滞留を防ぎ、工程の「流れ化」を図るためには、以下の取り組みが有効です。

    ① 各工程におけるムダの徹底排除
    作業のムダを排除し作業配分の見直しを行うことで、ラインバランス率の向上やライン長短縮を図り、滞留を抑えます。
    ② 各工程の同期化
    特殊工程のサブライン化、工程の能力差・稼働時間差を考慮した適正な生産タクトやバッファ設定などを行い、工程間の同期を図ります。
    ③ ライン停止要因の排除
    部品供給の隘路防止、内段取りの外段取り化による段取り替え時間の短縮、設備保全によるチョコ停の削減、製造品質の向上などの取り組みにより、ライン停止時間の短縮を図ります。
    ④ ラインレイアウトや物流の見直し
    モノの動きが最小限になるように、動線の短縮化を図ります。

    トヨタは「つくり過ぎのムダ」を防ぐために、必要なときに必要な物を必要なだけ作るジャスト・イン・タイムの考え方を導入し、それを実現するしくみとして「かんばん方式」を運用しています。これは後工程が引き取った分だけ作ることで、前工程の作り過ぎを防ぎ、全体の在庫量を抑えるしくみです。
    一方、少数の作業者チームで製品の組立工程を完成するセル生産方式を導入することにより、工程間仕掛り在庫を低減しているところもあります。いずれも局所的な改善ではなく、生産の流れ全体を考えた取り組みです。

    仕掛り在庫の削減には、全体最適の視点が必要となるため、経営者の強いリーダーシップと実行力が必要不可欠になりますが、その効果は想像以上に大きいものです。
    ぜひ積極的に取り組んでいただき、変化する市場への対応力を貴社の強みにして下さい。

回答した専門家
生産管理

顯谷 敏也

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