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第1節 契約書を作成する場合の注意事項
英文の契約書を作成する場合、日本文の契約書を作成する場合と同様に、下記事項に注意を払わなければならない。
第1項 契約当事者の特定
契約書の最初の部分において、当事者の名称、住所、設立準拠法の表示を行うが、 契約の当事者を十分に確かめ特定する必要がある。契約の当事者が個人であるのか組合であるのかがはっきりしない場合や、英米系の大会社は持株会社を頂点としてDivision毎に会社を設立したり、会社と称していてもDivisionであり登記がなされていなかったり、大変複雑な組織形態を取ることが多いので注意が必要である。また当事者の住所は裁判管轄の決定その他について重要な影響を与えること、また法人の場合はその設立準拠法によってその法人の能力に制限があることから、明確にすることを忘れてはならない。
第2項 適法であるか
行なおうとする取引が適用される法規に違反するようなことがあってはならないことは言うまでもない。アメリカの反トラスト法(Anti trust laws)に抵触するような取引を行えば、巨大な損害賠償請求を受け企業の存立そのものを危惧することも稀ではないし、また腐敗防止法(Corruption Act)に違反した場合には社会的な糾弾を受けるとともに、国際的な問題となる可能性があり当社の商活動に多大の影響を与える恐れがある。契約そのものは法律上何の問題もない場合でも、例えば運送や化学品・危険物の取扱いの場合のように、実際に行う為には、色々な免許が要求されることも少くないから、契約を締結する場合には、単にその契約が関係法規に抵触しないかどうかだけでなく、その契約を履行する際に法律上の制約がないかどうかも十分検討を要する。 法律は国によって異なり、アメリカのような連邦国家の場合には、すべての州において適用される連邦法と州によって異なる州法とがある。法律というものは絶えず変っていくし、解釈について定説のないこともあり、外国の法律が適用される場合には日本法の常識で判断すると誤った結果となる場合もある。 従って、外国の法律が関係している取引の場合には、その国の信頼できる法律家に相談し、その意見に従って行うというのが最も安全で確実なやり方である。
第3項 書面の記載は当事者の意図と正確に一致しているか
例えばDistributorship Agreement等で、当事者は売主と買主になろうとしているのに、契約書の文言では一方が他方の代理人になっているという間違いがよくある。
第4項 必要な条項が抜けていないか
契約書は原則としてその取引に関して取決めておかねばならないあらゆる事項を網羅しているべきであり、当事者が将来協議して決定する部分が残されていることは好ましくない。そのためには、やろうとしている取引を論理的に明解に規定するとともに、将来発生する可能性がある問題についてはその解決方法を規定しておかねばならない。
第5項 間違った記載はないか
当事者名・住所に間違いはないか。また、誤字や脱字、コンマやピリオドの使い方の誤り等は単に見苦しいだけでなく、契約の解釈に根本的に影響してくることもあり得るから、決しておろそかにしてはならない。
第6項 内容、字句の表現が明確になされているか
契約書は判り易く、誤解の余地がないように書かれていなければならない。将来契約の解釈について紛争が生じることのないよう、契約書の記載は唯一つの解釈しかできないよう明確に表現しておくべきであり、二様の解釈ができるような不明確な表現をしてはならない。
第7項 当社を不当に拘束する条項はないか
例えば当社がDistributorになる場合、競争品を取扱わないことを義務づけられることが多いが、xx問屋では、取扱い商品は広範囲にわたっており、どんな競争品を取扱うか判らないから、そのような競争品取扱禁止の条項は、将来契約違反を起こす可能性が高く、十分検討を要する。
第8項 他の契約に違反することにならないか
当社が既にある取引先と競争品を取扱わないという契約をしているにも拘らず、他の取引先と競争品を取扱う契約を結ぶことは前の契約に違反することになるし、またある特定の商品について二つの取引先に同じ地域において一手販売権を与えるという契約を結べば、いずれの契約にも違反することになる。 |
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