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中国企業と取引をするにあたり、相手方から中国語で書かれた契約書(中文契約)にサインを求められました。中文契約を読むにあたって、気を付けるべきポイントはありますか。
契約相手の調査を適切に行い、網羅的かつ正確に合意内容を記載しましょう。
1 はじめに
中文契約でも、ビジネスの内容や約束事を記載するという大きなスタンスは他の言語の契約と共通ですが、以下の点に注意が必要です(主として中国本土の企業との取引を想定しています)。
2 中文契約のポイント
(1) 契約相手の調査する
ア.契約の前提として、相手方の現在の基本情報を調べましょう。実は存在しない企業であった、代表者が変更されていた等、現在の情報との違いが判明することがあります。典型的な方法として、「国家企業信用信息公示系統(国家企業信用情報公示システム)」を通じた企業登記情報(日本の法人登記に相当)の検索があります。
イ.次に、営業許可証の確認をしましょう。中国では、企業が政府から認められた経営範囲外の活動をすると無効になる可能性があるためです。相手方から営業許可証のコピー等を送ってもらい確認しましょう。
(2) 合意内容を網羅的かつ正確に書く
中国は契約社会ですので、契約は非常に重要な地位を占めます。そのため、中文契約では「契約書に書いたことが全て」です。記載のない合意は存在しないものとして、また、記載が曖昧なときは相手方に有利に理解されるおそれがあります。合意内容や相手方との約束は全て網羅的に正確に記載しましょう。
(3) 準拠法を確認する
また、どの国の法律が適用されるのかという点も重要です(準拠法)。契約書に記載のない事項については、その国の法律が適用されるからです。よく中国法を準拠法とする提案がされますが、可能であれば日本法に変更してリスクを正確に予測することが望ましいです。
(4) 紛争解決手段を決める
日本の裁判で勝訴しても中国企業の財産を強制執行できない可能性があります。今後中国企業を訴える可能性がある場合には、強制執行ができる仲裁が紛争解決手段として選ばれることが多いです。
3 さいごに
中国企業との契約の際、中国政府の認可や届出が必要な場合もあるため、依然として中文契約のニーズは多くあります。中文契約に悩まれたら、お気軽にご相談ください。
(回答日:2024年8月30日)