今までいただいたご質問の中で多かった質問とその回答例です。
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当社の従業員がハラスメントを受けたとして訴えており、地域労働組合から当該従業員が組合員となったという労働組合加入通知書、会社の処遇や対応に関する団体交渉の申入書が届きました。どのような対応をする必要がありますか。
団体交渉を受け入れて、誠実に交渉を行う必要があります。
加入している従業員が1名だけであっても、地域労働組合が労働組合法2条に適合する労働組合であるのであれば、会社は、従業員の労働条件や身分関係に関する事項などについて、団体交渉を受け入れ、誠実に交渉を行う義務を負うことになります。
会社が正当な理由なく拒否した場合、労働組合法7条2号が禁止している不当労働行為として救済申立の対象となり、労働委員会から団体交渉に応じなければならないという命令が出されることとなります。
また、団体交渉の拒否自体が不法行為であるとして損害賠償請求がなされる可能性もありますし、組合活動、争議行為が激しくなることも予想されます。
会社が当該従業員に対して行った処遇に問題がないと考える場合は、団体交渉に応じて、その中で相当な資料を示すなど、誠実に交渉することが重要です。
通常、団体交渉申入書には、希望日時、場所、協議事項等が記載され、日時を数日後に設定し、場所を会社の会議室等と指定している場合もありますが、一方的に拘束されるものではありません。
日時について、会社としては事情の調査などの交渉のための一定の準備も必要となりますが、不当な引き伸ばしと言われないため、申し入れから10日前後の間で設定したいところです。
場所については、貸し会議室や公共の施設の会議室を設定するのが最近の傾向です。施設の場合には、貸出時間が決まっており、エンドレスに交渉が続くのを避ける狙いもあります。団体交渉は1回で終わらなければならないのではなく、2回目以降の設定も可能です。時間に区切りを設けることにも合理性があるでしょう。
交渉の時間は、2時間程度の時間を設定するのが一般的です。協議事項にもよりますが、通常2時間程度の時間内で、お互いの主張の確認、反論等は一通り述べることができるため、一つの目安となるのではないかと考えられます。
以上を踏まえ団体交渉申入書に対する回答を行って、団体交渉の場を設定し、その中で会社の主張を行っていくことが必要です。