今までいただいたご質問の中で多かった質問とその回答例です。
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居酒屋を経営しています。アルバイト従業員が料理をテーブルにこぼしてしまいました。お客さまの服が汚れることはなかったのですが、お客さまは「土下座しろ。」・「料理の代金は払わない。」と大声で叫んでいます。どのような対応をすればよいでしょうか。
悪質なクレーマーに対しては、毅然とした対応をとる必要があります。
正当なクレームであれば、企業活動を改善する貴重なきっかけとなります。しかし、何ら理由のない不当なクレームを申し立てる悪質クレーマーには、毅然とした対応をとる必要があります。
質問において、アルバイト従業員が料理をこぼしてしまったのはこちらのミスであり、謝罪の必要があることは間違いありません。しかし、だからといって店に土下座をする義務や、料理代金の免除をしなければならない義務があるわけではありません。むしろ、その場を収めるために土下座をしたり料理代金の免除をしたりすると、さらなる不当要求を招くという事態になりかねません。
このような悪質クレーマーに対しては、「これ以上のことはできません。他のお客さまのご迷惑になりますので、お引き取りください。料理の代金もお支払いいただかないと困ります。」とはっきりと告げることが重要です。悪質クレーマーは何らかの精神疾患を有している場合もあり、合理的な説得に応じないこともありえます。そのような場合は、強要罪(刑法第222条)、恐喝罪(刑法第223条)及び不退去罪(刑法第130条)等にあたるとして警察に通報すべきだといえます。
なお、悪質なクレーマーに対しては、一人で対応するのではなく、複数の従業員で対応するのが基本となります。また、後日の刑事告訴や民事訴訟といった法的措置に備え、防犯カメラの設置や会話の録音などの証拠化をしておくことも重要です(なお、会話の録音の際は、必ずしも相手の承諾を得る必要はありません)。
悪質クレーマーは突然現れます。普段から対応についてルール化するだけでなく、対応の体制について従業員間で共有しておけば、いざというときにも慌てずに的確な対応をすることができます。悪質クレーマーへの的確な対応をすることで、本当にサービスを提供すべきお客さまへの時間を確保することが可能となり、ひいては店全体のサービス向上にもつながるのではないでしょうか。