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データ利用に関する企業間契約の注意点を教えてください

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  • データ利用に関する企業間契約の注意点を教えてください

    A社は、自社が有する顧客情報の分析をB社に依頼し、分析結果を用いてより精度・客観性の高いサービスを提供したいと考えています。顧客情報の分析を依頼する際の主な注意点を教えてください。

    個人情報保護法と契約条項の明確化に注意する必要があります。


    1.個人情報保護法
    A社からB社への情報提供が個人情報保護法に違反しないよう注意する必要があります。
    ① B社への提供情報に個人情報(「生存する個人に関する情報であって、氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」等)が含まれる場合、A社のプライバシーポリシーを確認し、利用目的の達成に必要な範囲内における「委託」(個人情報保護法23条5項1号)に該当するかをチェックします。
    ② 「委託」に該当しない場合、A社により匿名加工情報(特定の個人を識別することができないように個人情報を加工し、当該個人情報を復元できないようにした情報)に処理した上で、B社へ提供することを検討します。

    2.契約条項の明確化
    データ取引について統一的な法律がないため、取引条件を契約条項で明確にしておく必要があります。問題となりやすい事項を例示します。
    ① 派生データの利用権限及び対価の有無
    B社は、加工・分析・編集・統合した情報(成果物=派生データ)を、A社以外にも提供することを希望します。これに対して、A社は第三者(特に同業他社)に提供されては困るといった懸念を持ちます。そこで、B社に派生データの利用権限を認めるか、認める場合の対価の有無を定めておく必要があります。
    ② 提供データに問題がある場合の責任
    派生データの利用を有償にする場合、B社としては提供されたデータに問題(正確性、完全性、有効性、安全性、第三者の知的財産権の非侵害、個人情報の非該当、個人情報提供の適法性等に問題)がある場合、A社に責任追及したいと考えます。これに対して、A社はデータに関する専門知識を有しておらず、提供するデータに責任を負いきれないと考えていることがあります。そこで、どのような場合に提供データに問題があるのか、問題がある場合の責任分担等について定めておく必要があります。

    3.契約書の作成方法
    経済産業省が「AI・データの利用に関する契約ガイドライン-データ編-」で、契約書のひな形を公表しています。なお、懸念点がある場合や、取引の実情に合った契約書の作成を要する場合は、法律の専門家への依頼を検討すべきでしょう。

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